食事と運動よりも重要な健康・長寿の要素
「健康でありたい」「長生きしたい」。こう思うのは人間の自然な本能です。この願いを叶えるべく、これまで医学を中心にさまざまな研究が行われてきました。
この中で、「どのようなライフスタイルが健康や長寿につながるのか」という点が分析されてきました。健康づくりの王道といえば、やはり食事と運動です。このため、「太らないようにする」「お酒を飲みすぎない」「タバコを吸わない」「適度な運動をする」といったことが啓蒙されていきました。
しかし、実際にさまざまな研究結果を整理してみると、意外な事実がわかりました。
なんと、先ほど挙げた食事と運動に気を付けるよりも、人とのつながりを多く持ち、交流するほうが健康にプラスの効果が大きかったのです(*1)。
実は、つながりが少なく孤独感を抱くほど、生理学的にマイナスの反応が起こり、健康を阻害してしまいます(*2)。また、つながりが多い人ほど、さまざまな健康に関する情報や支援を得るチャンスが多いだけでなく、そのつながりが新たなつながりを生み、人間関係を豊かにするというプラスの効果もあるのです(*2)。
私たち人間は社会的な動物であり、孤独・孤立は思っている以上に健康に悪いというわけです。
ハーバード大80年超の研究で明かされたこと
実は同じような結果が幸福度研究からも得られています。ハーバード大学のロバート・ウォールディンガー教授とブリンマー大学のマーク・シュルツ教授は、80年以上続くハーバード成人発達研究から、「人とのつながり、特に心の通う人間関係が人生や老いのつらさから私たちを守ってくれる」と指摘しています(*3)。
これらの研究結果が示すように、人とのつながりは、私たちに大きな影響を及ぼします。
では、どのような人が孤独・孤立に陥りやすいのでしょうか。日本における孤独・孤立の現状について見ていきたいと思います。