夏休みに一人ひとりの子どもと個別にキャンプ

たとえば被験者のうち一番幸せな一人とされていた男性は、貧しい家庭の出身ですが努力して大学を卒業したあと、企業に就職し、結婚しました。

しかし、子どもが小児まひにかかり、その看護に時間を取られるので解雇され、失業、転職を経験します。

でもその苦しい期間も、夫婦は助け合い、夫が失業したときには妻が就職して家計を支えました。そうした、苦労をともに乗り越えた経験が、二人の信頼関係を培ったので、高齢になったいまもお互いがかけがえのない相手となっています。

坂東眞理子『与える人 「小さな利他」で幸福の種をまく』(三笠書房)
坂東眞理子『与える人 「小さな利他」で幸福の種をまく』(三笠書房)

別の幸せな対象者は、ハーバード大学出身でしたが、母を支えるため地元で高校教師になり、多くの教え子から慕われる教師になりました。

彼はつましい生活のなかで五人の子どもを育てました。子どもたちとともに過ごす時間を充実させるため、夏休みに一人ひとりの子どもと個別にキャンプをするなどの努力が実り、成長した子との関係は信頼と愛情で満たされています。

経済的には、ビジネスパーソンや弁護士になったハーバード大学の同級生より恵まれませんでしたが、彼は温かい家族と友人に恵まれ、人生の「成功者」とされています。

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