炎上騒ぎになった札幌ドーム社長の発言
札幌ドームの指定管理者である第3セクターの「株式会社札幌ドーム」は6月21日、定時株主総会を開き、2023年度の最終(当期)損益が過去最悪の6億5100万円の赤字となったと報告した。
山川広行社長は「やろうとしたことが思うように進まなかった。(中略)平日にプロ野球をやれたらいいが、やらせてくれないのでね」とこぼした。
この発言がメディアに出ると、ちょっとした「炎上騒ぎ」になった。
筆者はこれまでも札幌ドームについて記事やブログでたびたび取り上げてきたが、そのたびに大きな反響があった。人々は札幌ドームと、一昨年まで「店子」だった北海道日本ハムファイターズの「対立の構図」に強い関心を示している。なぜ「札幌ドーム」はこんなにバズるのか。
とにかく、一連の騒動は、ストーリーが「わかりやすい」、それが最大の原因だろう。
「札幌ドーム」が関西弁でいうところの「わるもん」、日本ハムが「ええもん」に見えている。
しかし、札幌ドームと日本ハムは当初は、蜜月の関係だったのだ。
札幌ドームと日本ハムの関係が壊れたきっかけ
札幌ドームは北海道、札幌市、地域財界の意向を受けて2002 FIFAワールドカップでの使用を前提とした「全天候型多目的ドーム」として2001年に完成した。
ワールドカップが終わってからはJリーグのコンサドーレ札幌の本拠地としてスタートしたが、試合数の少ないJリーグの動員だけでは採算が心もとない。そこへ日本ハムの本拠地移転、という話が飛び込んできたのだ。
2003年までの日本ハムは、東京ドームを読売ジャイアンツと共用する形で本拠地にしていた。しかし都心の好立地で知名度抜群の東京ドームの使用料はとにかく高い。コスト削減と新規マーケットの開拓を目的に移転先を探していたところ、札幌ドームと利害が一致したのだ。
チームは2004年に北海道に移転。名前も北海道日本ハムファイターズと改め「北のプロ野球チーム」として再スタートを切った。
日本ハムは、北海道内をマーケットに定めて道内各地で試合も行うなど地域密着型のマーケティングを展開。福岡に本拠地を置き九州のファンを獲得した福岡ダイエーホークス(のちソフトバンクホークス)とともに、フランチャイズ移転での成功例と言われた。
しかし、この時期から日本のプロ野球の「ビジネスモデル」は大きく変わった。