なぜサイゼリヤの商品は驚くほど安いのか。サイゼリヤ創業者で、『サイゼリヤの法則 なぜ「自分中心」をやめると、ビジネスも人生もうまくいくのか』(KADOKAWA)を出した正垣泰彦会長に、ライターのヨッピーさんが聞いた――。(前編/全2回)
正垣泰彦会長
永井浩撮影
正垣泰彦会長

なぜサイゼリヤは頑なに値上げをしないのか

【ヨッピー】著書の中でも触れられていますが、イチ消費者として気になる部分、「サイゼリヤは何故値上げをしないのか」についてお伺いしたいです。インフレ・円安の中でどこの企業も値上げしてますよね。なのにサイゼリヤが頑なに値上げをしないのはなぜでしょうか。

【正垣会長】それはね、すごく単純な話ですよ。値上げはお客様のためにならないからです。ビジネスとはつまり、社会貢献だと思っているんですね。「自分たちが儲けて、良い暮らしがしたいからビジネスをする」のではなく、「世の中に困っている人がいて、その人たちの役に立ちたいからビジネスをする」――そういう考え方をしています。優先順位のつけ方ですね。

ヨッピーさん
ヨッピーさん(永井浩撮影)

【ヨッピー】本のタイトルのように、「自分中心の考え方をやめる」というところに繋がるんでしょうか。

【正垣会長】そうです。会社を作った時にもまず、「自分が良い暮らしをするにはどうしたらいいか」ではなく、「社員を幸せにするにはどうしたらいいか」ということを考えたんですよ。それには「会社を大きくすることだ」と。どんどん会社を大きくすれば給料も出せるし、社員は幸せになるでしょう。

今はおっしゃったようにインフレや円安で物価がどんどん上がっています。同時に給料も上がって皆さんの生活が楽になっていればいいのですが、数字から見ても皆さんの暮らしは苦しくなっている。こんな時に値上げはしません。