高校スポーツの競技人口が減り、地方大会や全国大会での試合組みに影響が出始めている。元ラグビー日本代表で成城大学教授の平尾剛さんは「高校ラグビーでは、少子化で地方予選すら開けない県も出てきている。各都道府県が代表を決めてトーナメントで日本一を競うという方法を考え直す時期に来ている」という――。
先制トライ決める柴崎 全国高校ラグビー第3日
写真=共同通信社
2024年12月30日、尾道―石見智翠館 前半、先制トライを決める石見智翠館・柴崎=花園

「予選ゼロ」で全国大会が決まった島根県

「花園」の名で親しまれている全国高等学校ラグビーフットボール選手権大会。第105回を迎えた今年は、神奈川県の桐蔭学園高校が京都成章高校を36―15で下し、史上6校目となる3連覇を果たした。

毎年選手が入れ替わる高校年代での連覇はまさしく偉業だ。代替わりしてもブレないほど厚みのあるウイニングカルチャーが築けている証左だからだ。機を見るに敏な選手たちが織りなすチームプレーは、ディフェンディングチャンピオンに特有の重圧をものともしなかった。優勝校にふさわしい戦い振りに多くのファンは拳を握りしめ、ときに腰を上げながら観戦を楽しんだことだろう。

振り返ればベスト16以降はどの試合もレベルが高く、真剣なまなざしで楕円球を追う高校生たちの姿に気持ちは昂った。花園はやはりオモシロい。

その一方、曰く言い難い複雑な思いが拭い去れないのも事実で、正直なところここ数年は純粋に楽しめていない。そう遠くはない将来、現行の花園は終焉を迎える。その危惧が脳裏から離れないのである。

ついにというか、今年の花園では特筆すべき事態が起こった。島根県代表の石見智翠館高校が予選なしで出場を決めたのである。試合が成立するのに必要な15人を揃えられたチームが、島根県内では石見智翠館だけだったのだ。

予選なしでの代表決定という由々しき事態は、実は今年が初めてではない。2022年の鳥取予選ですでに起きている。参加した3校のうち2校が選手不足により棄権を余儀なくされ、倉吉東高校が1試合もすることなく花園への切符を手にしたのだった。

決勝でも100点以上の差がつく試合が増えている

予選に参加する高校も減り続けている。今年は山形県、福井県、鳥取県では2校、香川県、高知県、佐賀県は3校、富山県、石川県が4校で、つまりはたったの1勝ないし2勝で代表校が決まったわけだ。

しかも予選の決勝では大差がつく試合が増えていて、100点以上の差がついたのが栃木県(158―7)、千葉県第1地区(113―7)、愛知県第1地区(110―5)、80点以上が滋賀県、岡山県、愛媛県と、各校の実力差は広がりつつある。全国大会でベスト8に残る高校の顔ぶれも、ここ数年はほとんど同じだ。

【図表1】第105回高校ラグビーで大差がついた主な試合

実際にこの20年で、高校ラグビーにおける競技人口は著しく減少している。2003年に3万419人だった全国高等学校体育連盟(高体連)の加盟人数が、2022年には1万7649人となり、実に40%以上も減少している。この間サッカーやバスケットボールはほぼ横ばいだから、つまりはラグビーだけが激減していることになる。

つまるところ高校ラグビー界は岐路に立っている。代表校なしの都道府県が出てくるのも時間の問題だろう。今年で105回目を迎えた花園は、そのありようを問い直す必要に迫られている。少子化が加速するいま、ドラスティックな改革は避けられそうにない。

では、どのような改革が必要なのか。以下、私なりに提案をしてみたい。