日本の学校は、偏差値を基準に「進学校と底辺校」、「一流大学とFラン大学」など序列がつけられている。京都芸術大学客員教授の本間正人さんは「偏差値というのは理論上、半数の人が50以下になるもので、しかも日本でしか通用しない。このような限られた指標が、子どもの学習意欲を下げる原因になってしまっているのはもったいない」という――。

※本稿は、本間正人『100年学習時代 はじめての「学習学」的生き方入門』(BOW BOOKS)の一部を再編集したものです。

高校の教室
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大人こそ古い学校教育の“被害者”

学校教育の影響を受けているのは、現在学んでいる子どもたちだけではありません。

むしろ、今、大人である世代にとって、古い学校教育の影響は甚大です。気づかないうちに植えつけられた古い学校教育の常識が、仕事や家庭生活、人間関係など人生全般に大きな影響を及ぼしています。

本稿では、私たちが学校教育のどんな影響を受けてきたのかを掘り下げながら、私たちに染みついている呪縛を解き放つヒントを見つけていきます。

「教わらないと勉強ができない」の誤解

呪縛その① 教育とは学校の先生から教わること

「教育を受ける」という表現をよく耳にします。

「教育は受けるもの」であり、それはとりもなおさず、学校の先生から教わることだ、という固定観念は広く定着しています。文部科学省が「アクティブ・ラーニング」を声高に叫ぶようになった現在でさえも、日本の古い学校教育を受けてきた世代は、「教育を受ける=先生に教わる」というイメージが、極めて強く、深い呪縛となっています。

決して教わることが悪いとは言いません。しかし、教わらないとできないという誤解が蔓延しています。「教わらないと勉強ができない」という考え方です。

学習=やらされるものであり、それ以外は何をやったらよいのかわからない、という受け身の姿勢になってしまいます。振り返ってみて、自分にも思い当たる点はありませんか?

teach(教える)という動詞にeeがつくと、teachee、「受け身で教わる人」という意味になります。まさに私たちが受けてきた学校教育はteacheeをたくさん生み出しているのです。そして、その負の遺産を大人になっても心の中に抱え、そして自分の子どもたちに受け継がせてしまっているのです。