企画書や稟議書などの資料作成に悩むビジネスパーソンは多い。新刊『「わかる」から「動ける」まで 言葉の解像度を上げる』を上梓した浅田すぐる氏は「トヨタでの新人時代、上司から“言葉の扱い方”について叩き込まれた。仕事を前に進めるには解像度の高い言葉を使う必要がある」という――。
トヨタで体得した「言葉の解像度を上げる」力
ここ数年、書店のビジネス書コーナーを覗いてみると、「言語化力を高める」「解像度を上げる」といったキーワードを頻繁に目にするようになりました。
自身の仕事の状況について、よくわからなくなってしまう。あるいは、何が起きているのかについて考えたものの、いつまで経っても全体像が見えてこない。その結果、うまく言葉にして表現できず、周囲の理解や協力を得られない。そんな悩みを抱えているビジネスネスパーソンが数多くいるのだろうと推察しています。
翻って、私自身の社会人生活を振り返ってみると、仕事で「解像度を上げる」能力については、20代の間に身につけることができていたように思います。
その要因を端的に記せば、サラリーマン時代の大半をトヨタ自動車(以下、トヨタ)で過ごすことができたからです。
当時は「解像度」という言い回しをビジネスコミュニケーションで見聞きする機会自体ほとんどありませんでしたが、今思えばトヨタの上司や先輩が授けてくれた力は、紛れもなく「解像度を上げる」能力でした。