ビジネスを成功させるためのポイントは何か。吉祥寺の焼き鳥屋を経営する大将の息子で不動産プロデューサーの玉岡一央さんは「商売にはバランス感覚が求められる。大将のお店では常連さんが席に着くと、食材の無駄をなくすため、店側が選んだ焼き鳥を5本出していた。そんな身勝手なルールを設けていたが、お客様の好みを把握していたから、文句が出るようなことはなかった」という――。

※本稿は、玉岡一央『ビジネスで大切なことはみんな吉祥寺の焼き鳥屋で教わった』(秀和システム)の一部を再編集したものです。

焼き鳥
写真=iStock.com/SetsukoN
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はじめてのお客様が驚くお出迎え「ドンドンドンドン」

大将のお店の入り口には、小さいでんでん太鼓が置かれていました。

これをどう使うのかというと、お客様がガラッとドアを開けて入店をしたと同時に、大将が「ドンドンドンドン、ドンドンドンドン」と、そのでんでん太鼓を叩くのです。

お店に入っていきなり太鼓が鳴らされるのですから、はじめてのお客様は、きっと度肝を抜かれたのではないでしょうか。

この小さい太鼓は、玄関近くにあった焼き鳥の焼き台の横につるしてあり、ドラムのスティックを短くしたようなバチで勢いよく叩きます。

そして、その横には小さいプラスチックのランプのようなものが置いてあり、最後にそのランプの傘の部分をチンと叩いて〆るのです。

ドンドンドンドン、ドンドンドンドン、ドン、ドン、チン! ……といった具合です。

「いらっしゃいませ」といいながら叩く時もあれば、他に作業をしている時には、手を止めてわざわざ鳴らすこともありました(もちろん、状況によっては鳴らせない場合もありましたが)。