商売を長きにわたって維持するには何が大切か。吉祥寺の焼き鳥屋を経営する大将の息子で不動産プロデューサーの玉岡一央さんは「美容室は1日に稼げる売上には限界があるが、原価率が低いため、高い家賃の店舗でもなかなか潰れない。ものを売って利益を出すのではなく、サービスに対価を払ってもらえる業種は安定しやすい」という――。
※本稿は、玉岡一央『ビジネスで大切なことはみんな吉祥寺の焼き鳥屋で教わった』(秀和システム)の一部を再編集したものです。
大将の焼き鳥屋は「原価2割未満」を徹底
私が小学生の頃から、大将はよく「うちは原価率2割未満だから」というような話をしてくれました。
例えば焼き鳥は原価○割、飲み物は○割、おつまみは○割など……当時いっさいメモを取っていなかったのでハッキリと覚えてはいませんが、とにかく原価を2割未満に抑えていたことだけは、なんとなく記憶に残っています。
また、それと一緒に「良い材料を使って、それを安く出すことが、お店を繁盛させるわけではない」ということも、大将はよくいっていました。だから原価率を上げてはいけないというわけです。
正直なところ、子どもの頃はそんな話を聞いても、ピンと来ませんでした。むしろ内心では「美味しい料理を安く提供すれば、それが話題となって、お客さんがたくさん来るんじゃないの?」と考えていたくらいです。