竹下佳江(ロンドン五輪女子バレーボール日本代表セッター、銅メダル)
ロンドン五輪で28年ぶりに銅メダルを獲得したバレーボール全日本女子の精神的支柱だった。結婚していたことも五輪中に公にし、銅メダルと結婚の二重の喜びに浸っている。セッターの竹下佳江はしみじみと言う。「誰よりも苦い思いもたくさんしてきた。でもいろんな人の支えのおかげで今がある。本当に濃いバレー人生だった」と。
チーム最年長の34歳。身長が159センチ。2000年シドニー五輪では出場権を逃し、いったんバレーを離れた。でも、半年後に復帰。2004年アテネ五輪、08年北京五輪に出場し、いずれも準々決勝で敗退した。
負ける度、「早くセッターを大型に代えろ」と批判の矢面に立たされてきた。だが、サイズや年齢は関係ない、と小さな体で巧みなトスを上げてきた。特にこの4年、スパイカーの立場を考えた献身的なやわらかいトスになった。円熟のトスさばきだった。
根性の女である。「真鍋(政義)監督になって、ずっとぶれずにやってきたことが最後、こういうメダルの形になった。本当によかったと思います。言葉で表現できない喜びです」
銅メダル獲得の一夜明けの会見で、結婚を口にした。相手がプロ野球広島カープの江草仁貴投手。真鍋監督やチームメイトからやんやの喝采をうけた。顔を真っ赤にし、「結婚については、帰国して、改めて報告します」と多くを語らなかった。
福岡県出身。引退の可能性が大きいが、「今後のことは、これからゆっくり考えます」という。「いろんな仲間とバレーをして、成長させてもらった。周りに支えられて自分がいる。人の出会いに感謝です」。不断の努力のご褒美が銅メダルである。