自分のやりたいことをやれるようになるには、どうすればいいのか。在米邦人向けメディア「ニューヨークBIZ」の高橋克明さんは「建築家の安藤忠雄さんに『どうしたら安藤さんのように世界で活躍できるのか』と聞いたことがある。返ってきたのは『とにかく空気を読むな』という答えだった」という――。

※本稿は、高橋克明『NYに挑んだ1000人が教えてくれた8つの成功法則』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

ファッションブランド「ジョルジオ・アルマーニ」が開催したファッションショー「GIORGIO ARMANI 2020 CRUISE COLLECTION」に来場した建築家の安藤忠雄さん(=2019年5月31日、東京都台東区の東京国立博物館)
写真=時事通信フォト
ファッションブランド「ジョルジオ・アルマーニ」が開催したファッションショー「GIORGIO ARMANI 2020 CRUISE COLLECTION」に来場した建築家の安藤忠雄さん(=2019年5月31日、東京都台東区の東京国立博物館)

「ボクシングも建築も、必要なのは緊張感」

日本が誇る世界的建築家、安藤忠雄さんにインタビューしたのは2014年、ニューヨークで開催されたジャパンソサエティでの講演会直前だった。

本当の意味で、世界で名が知れ渡っている日本の建築家は“ANDO”ただひとりではないか。お会いする前は、なんというか天才肌の、それでいて気難しい方ではと勝手に身構えていた。

実際にお会いした安藤さんは、すべての質問にすべて正面から(すべてかぶせ気味に)答えてくれた。実直で、熱くて、それでいて無骨な芸術家。建築を独学で身につけ、元・プロボクサーという異例の経歴も関係しているのかもしれない。

「ボクシングはスポーツだからね。建築とはまったく異なる世界なわけだけれども、一点通じるところはあるんです。いずれも最後は自力で道を切り拓かねばならない真剣勝負、緊張感が必要だということ。その意味では、短い間でも、ボクシングに打ち込んだ経験は無駄ではなかったと思います」