今、医療界で深刻な大学病院離れが起きている。新人医師が大学病院でキャリアをスタートさせる割合は、2003年度は72%だったが、2023年度は36.5%と半減、過去最低を更新した。特に不人気が顕著なのは地方医大病院。病院組織の在り方や賃金などの諸問題を現役医師の筒井冨美さんがリポートする――。
年季の入った病室
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弘前大研修医2人(定員45人)の衝撃

医学部生は6年間学び、卒業前に医師国家試験を受験する。それに合格して晴れて医師になると、春から研修医として大学病院や一般病院で働くことになる。

2022年10月末、全国81医大の付属病院本院に就職内定した研修医数(2023年度)が発表された(図表1参照・新研修医制度に未加入の防衛医大除く)。

図表=大学病院(施設別)における自大学出身者の比率 2022/10/27より著者改変(防衛医大は除外)
図表=「大学病院(施設別)における自大学出身者の比率 2022/10/27」より著者改変(防衛医大は除外)

都市部の伝統校が大人気で、東京大学/東京医科歯科大学/京都大学のトップ3校の顔ぶれは毎年、ほとんど同じである。地方医大の不人気も常態化しており、今回、弘前大学医学部附属病院は内定者2人(定員45人)という史上ワースト記録を更新した。企業でいえば、新入社員が2人しか入らなかったのと同じだ。

2022年10月から放映中のドラマ「祈りのカルテ」(日本テレビ系)は、研修医6人による群像劇だが、リアル大学病院の方がドラマより研修医数が少ない事態となった。