これから社会に出る人はどのようにキャリアを築いていけばいいのか。800社超、17万人のビジネスパーソンの働き方改革支援をしてきたクロスリバー代表の越川慎司さんは「今後のビジネスシーンはオープンワールドRPG化します。国境や言語の壁がなくなり、どこにでも行ける広大なフィールドで、自ら探索し、自ら課題を設定しながら、目指すキャリアゴールに向けて自律的に学習していく世界になるのです」という──。(第2回/全5回)

※本稿は、越川慎司『29歳の教科書』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

大企業が大企業のまま成長するのは不可能

「大企業に入れば、倒産することはない」
「我慢して働いていれば、給料は着実に上がる」

20年前は、私自身そう思っていました。大学を卒業した私は、新卒で日本の情報・通信分野の巨大企業に入社しました。

自分が望めば、そのまま定年まで居続けることもできたでしょう。しかし、大学を卒業するときには想像もしませんでしたが、転職や起業を経験し、マイクロソフトでは「働き方」がそれ以前のモデルとはまったく違ったものになっていく様子を肌身に感じる体験をしました。

そして2022年の現在、独立し、800社を超えるコンサルティングを通じて、「大企業が大企業のまま成長し続けることはもはや難しい」と確信するに至りました。

面接を受ける女性
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです

新卒の3分の1が辞める現実…

いまだに大企業に有利な点があるとすれば、それは、「学歴の高い従順な学生を採用しやすい」ということぐらいではないでしょうか。にもかかわらず、「いい大学」「いい会社」を目指す学生が後を絶ちません。

これは、就職活動に明け暮れる学生が悪いのではなくて、登り切った階段の先で「あがり」を迎えた親世代の固定観念の影響にほかなりません。

「いい大学、いい会社に入れば、安定・安心を手にして、“いい人生”を送ることができる」という画一的な価値観を刷り込まれてきた結果です。