新NISAでの投資は「長期・分散・積立」が王道なのか。セブン‐イレブン限定書籍『出遅れた投資初心者のための 資産ゼロからの新NISA入門』を上梓したファイナンシャルリサーチ代表の深野康彦さんは「新NISAの利用法は広い。オルカン人気でその大半が積立投資かと思いきや、実際の買い付け額は、成長投資枠がつみたて投資枠の5倍となっている。個々人の状況に合わせて上手に活用するのが賢い戦略だ」という――。

新NISAスタートから200万口座増加

2024年1月から制度内容が大きく変わったNISA。使い勝手がよくなったこともあり、口座開設数が大きく伸びています。

金融庁によると、制度改正前の2023年12月末から2024年3月末までの3カ月で、NISA口座数はおおよそ200万口座増加しています(2023年12月末までの口座数は、一般NISAとつみたてNISAの合計)。

1~5月では、証券会社大手10社だけでも224万口座が開設され、前年同期の2.6倍です(日本証券業協会調べ)。

これまで投資経験がなかったものの、NISA制度に魅力を感じて口座を開設する人が多いようです。

ビジネスグラフの描かれたデスクでラップトップを使う人
写真=iStock.com/triloks
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「成長投資枠」の買付額が「つみたて投資枠」の5倍

さて、NISA口座といえば、インデックス投信を積み立て購入するイメージがあります。

「オルカン」(オールカントリー:世界中の株式に投資するインデックス投信のこと)という言葉が一般にも広まっていますし、米国株や日本株のインデックス投信に積立投資して老後資金を準備する、というのがNISA利用の王道のように考えられています。

しかし、実際の利用状況を見ると、そうしたイメージとはかなり違った実態が見えてきます。

金融庁によると、NISA口座における買付額の合計は約6兆1800億円。そのうち、「つみたて投資枠」の買付額が約1兆円であるのに対し、「成長投資枠」は5兆円を超えています(いずれも2024年3月末現在)。

買付額で見ると、意外なことに、圧倒的に「成長投資枠」のほうが多いのです。なぜでしょうか。