投資の魅力はほかにもある
誤解しないでいただきたいのですが、「長期・分散・積立」を否定しているわけではありません。とくに20~50代前半くらいまでの資産形成層では、投信積み立てをメインにするべきです。
それこそ、年に1度程度、状況を確認すればいいなど、手間なく、生活の一部として投資ができます。
しかし、だからといって、それだけにこだわる必要はないのです。
インデックス投信が市場全体に投資するのに対し、株式投資は、銘柄を自分で選んで投資します。好きな企業、お気に入りの商品を供給している会社、応援したい企業、世の中に必要な存在であり続ける会社、将来トップ企業になりそうな会社など、自身で銘柄を選び、値動きを味わうのはワクワクします。
さらに、業績に応じて配当金を受け取ることができる、あるいは、企業によっては株主優待が受けられるという「楽しみ」もあります。
そこで、毎月の収入の一部をつみたて投資枠で投資し、ボーナスの一部など、余裕資金を使って成長投資枠で投資する、という方法もいいでしょう。
「資産をなるべく維持しながら少しずつ使う」経験も大切
2つめの理由は、近年、私が気になっていることに由来します。それは、「お金を増やすことに意識が向きすぎて、お金を使うのが上手ではない人が多い」ということです。
つみたて投資枠で積み立て投資を行うと、一般的には、投資信託の分配金は自動的に再投資されます。
資産形成という目的においては効率的でいいのですが、一定以上の年齢の方なら、ここで資産を増やす一辺倒ではなく、「資産をなるべく維持しながら少しずつ使う」ことを考えてもいいと思うのです。
最近は、日本企業が株主重視の一環として配当金を増やすケースが増えています。株価に対する配当金の割合を配当利回り(配当金÷株価×100)といいますが、優良企業の中にも3%台、4%台の企業が少なくありません。
配当利回り4%の企業に100万円を投資すれば、年間4万円の配当金が得られます(配当金は業績などによって変動することに注意)。株価が大きく値下がりしない、また値下がりしたタイミングで売却しない限り、投資した元本を維持しながら、配当金という投資の果実を受け取ることができるわけです。
親鳥(投資元本)が卵(配当金)を生むことになぞらえ、私はこれを「雌鶏投資」と呼んでいます。
雌鶏が卵を産み続けられるか、体調(業績など)をチェックしながら、卵はその時々で味わいます。とくに50代後半以降であれば、金融資産の一部でそうした投資を行ってもいいでしょう。