研修医人気は「都会>地方」「一般病院>大学病院」

今回の結果は、「研修医の地方離れ」のみならず、かねてより問題視されていた「研修医の大学病院離れ」が一層進行したことを示した。20年前の2003年度には72.5%の新人医師が大学病院でキャリアをスタートさせたが、その割合は低下の一途をたどり、2023年度には36.5%と過去最低を更新した。

大学病院を弱体化させた新研修医制度(2004)とインターネット

大学病院といえば今なお、ドラマ『白い巨塔』のように「教授は王様のように君臨し、多数の若手医師が滅私奉公する封建社会」的イメージを持つ人もいるが、ほとんどの大学病院においてそれは過去のものとなった。

大学病院は全体的に知名度が高いが、実は弱体化している。その契機となったのが、新医師臨床研修制度(以下、新研修医制度)である。それまでの新人医師は慣習的に母校の大学病院に就職し、「外科」「眼科」などの医局に属していた。教授は若手医師の就職先やバイト情報を一手に握っており、逆らうこと=失職を覚悟せねばならなかった。長い下積みを強いられる中、モチベーションを失う若手医師も少なくない。そのため、患者側からは「大学病院では臓器は見ても人は診れない」「総合的な研修が必要」という批判・指摘をしばしば受けた。

弱体化のターニングポイントとなったのは、2004年度から開始された新研修医制度だ。医師免許取りたての若手医師は2年間「内科4カ月→外科2カ月→小児科2カ月……」のように短期間に多数の科をめぐり総合的な研修を受けることが法律で義務化された。その影響もあり、若手医師は封建的な大学病院を嫌って、都市部の一般病院で研修する者が増えていった。

【図表】卒後研修の変遷

大学病院への安定的な医師供給が断たれた頃、医療界にもインターネットの大波が押し寄せてきた。医師であってもオンラインで職を探したり条件交渉することが可能となり、転職する者が続出。教授に逆らっても食いぶちに困らなくなり、大学病院からも転職者が増えた。

そうした状況を知った医学生は、さらに大学病院を敬遠するように。かつて花形だった外科・産婦人科は敬遠され、ラクで開業しやすいマイナー科と呼ばれる眼科・皮膚科などが若手医師に大人気となった。