長引く不況が学生の就職氷河期を招いている。同様に、3年前なら課長になれた人が登用されない“昇進氷河期”がビジネスマンを直撃している。
事業縮小などによるポストの減少だけではない。業績悪化による「昇格原資」の削減で、昇進させたくてもできないという事情もある。
大手ゼネコンの人事部長は「売り上げを出している部門は昇格しやすいが、斜陽の部門は難しい。全体の管理職への登用の割合は通常の3割と低く、管理職になれない30代後半から40代前半の社員が大量に存在する」と指摘する。
人事の停滞はモチベーションにも影響する。会社にとってはゆゆしき問題であるが、荒療治を敢行したのは、ある大手IT関連企業である。
「40代以上の課長、次長クラスのうち、一定の評価を得ていない者を部門に関係なく全員降格させた。代わりに30代後半の社員を登用し、大幅に若返りを図った」(人事部長)
今では管理職は決して上がりのポストではない。出世もそこそこでいい、と高を括っている人は「間違いなくランク(等級)が一つずつ下がっていく。なぜなら若い社員が追い上げており、やがてポストを外される」(同)。ポストにふさわしい成果を出し続けなければ、後輩が取って代わり、最悪の場合は、リストラ候補者に転落する可能性もある。