「6重苦」の日本企業は社員の8割がリストラ予備軍だという。時代の大きな変化は企業が求める人材像を一変させた。管理職、一般社員にはどんな働き方が求められているのか。有力人事部が「生き残る社員」の条件を語り尽くす。

40代バブル入社組がリストラ予備軍

【電機】東日本大震災の影響による中小企業のリストラをはじめ、大手もリーマン・ショック以来の業績不振や円高による生産の落ち込み、海外への生産シフトでリストラをしている。それでも、まだバブル入社組の数が多い。彼らは40代の半ばに達した課長職が多いが、人件費負担も高いし、リストラのターゲットになっている。

【IT】リーマン・ショック後にリストラをしたことがある。うちでは毎年、人材計画会議を開催し、定量的なデータに基づいてリストラ候補を抽出して手を打っている。やはり多いのは1980年代後半からバブル崩壊後の93年までに採用した40代の社員だ。今まではその上の高齢層とローパフォーマーが中心だったが、ポストがなくなると彼らに手をつけざるをえない。今は業績も回復し、儲かっているうちに、きちんと処理していくしかない。

【流通】バブル期に入社した40代ぐらいで管理職に就いていない社員はいらないね。全員が管理職になれないので常にリストラの予備軍はいる。

【化学】うちはグループ企業ごとに定員管理を徹底している。たとえばある企業が1000人だとすれば、新卒を30人採用すれば、逆に定年者を含めて何人いるのかを想定し、辞める人間が少ないと、リストラを含めた何らかの手段で減らすように指示している。もちろん事業が好調で拡大している部門があれば、増員を認める。その代わりに業績が思わしくない部門から社員を削るというやりとりを人事と部門間でやっている。

【電機】リストラ候補選出の基準は人事考課だ。目標未達が継続し、その割には高い給与で、傘下の企業に転職先として紹介できないとなると、リストラするしかない。ただし、近年は事業環境が変化しており、海外シフトや国内事業の廃止にともない、たとえパフォーマンスが高い人でも事業と一緒にリストラされるケースも増えている。