部下に人気がなければ昇進できない
もちろん、ポスト不足の時代でも課長から部長へと駆け上がっていく人もいる。一般的に昇進の要件は、過去2年の人事評価が一定水準を超えていることが一応のルールとなっている。だが、実際は所属部門長の推薦状がなければ昇進できない。実績があり、人事評価が高いだけでは上がれないというのが人事部長の共通した意見だ。お墨付きを得られる社員とはどんなタイプか。
「たとえば課長から部長に昇進するタイプというのは、すでに部長の仕事をしている人。彼の働きぶりは部長クラスだよな、と思わせる人は上がっている。もちろん課長職に求められる職務記述書に沿った仕事をしていれば評価は高くなるかもしれないが、言われたことだけをやっている限り、昇進はできない。一つ上の仕事に上司と衝突してでも、ぶち当たっていくような馬力がある人が昇進している」(サービス業人事部長)
推薦するのは部門長である。流通業の人事部長は「仮に直属の上司からの評価が高くなくても、やっている仕事の最終評価者である事業部長、執行役員クラスに認められることが重要。最終評価者に自分がどれだけ成果を挙げているかというアピールを常に心がけていることだ」と指摘する。
また、部長昇進の必須の要件は部下の信頼度である。前出の大手IT関連企業では、部下が上司を評価する360度評価や職場のストレス診断を参考に「上司力」をチェックしている。
「上の評価と部下の評価のギャップがある人が必ずいる。以前は上の評価が高いと昇進されることもあったが、今は部下の信頼度が低いと上げることはない。よほどの能力のある人は別だが、それは非常に希。信頼度の低い人はよくて課長止まりだ」(人事部長)