30歳、35歳もリストラの対象に
切り捨てられる社員とはどんな人物か。前出の流通業の人事部長はズバリ「人気がない人」と言い切る。
「リストラ候補者の選定は部門長会議で決定している。各部門の候補者リストを見て、別の部門長から『昔、お世話になったから、うちで引き取り1年間見ます』という声が上がる社員もいるが、どこの部門からも声をかけられない人が結構いる。共通するのは人気のない人。たとえ能力が高くても、過去の言動も含めて彼と一緒に仕事はしたくないよね、という人は結局、行き先も決まらず退職せざるをえない運命になる」
最近は、希望退職募集の対象者が30歳、35歳にも広がるなど、対象者の低年齢化が進行している。彼らはまだ成長の可能性が期待できるようにも思えるが、対象となるのはどういう人なのか。
「当社は35歳から対象だが、本当は30歳からでもいい。入社後8年経ても、誰からも評価されない社員がいる。会社の育成義務は3年。その後は貢献すべきだが、能力が発揮できていない社員がいる。今後化ける可能性もあるかもしれないが、35歳から伸びたという話はあまり聞かない。会社にとっても早く見切ったほうが、“不良債権化”して被る損失を早めに回収するという点ではメリットがある」(流通業人事部長)
長期の育成期間を経て、40歳で課長に昇進する時代ではもはやない。管理職の若返りが進むにつれ、伸びる社員とそうでない社員の選別も一気に早まっているのだ。
※すべて雑誌掲載当時
(撮影=宇佐見利明)