前出の大手ゼネコンでは、役員クラスで構成する「人事会議」で最終的に昇進者を決定するが、そこに提供されるのが外部機関に委託した部下と上司の評価報告書だ。

「部下の人気がない人は、いくら実績を挙げていても減点要因になる。管理職失格と見なされて昇進できないケースも多い」(人事部長)

近年は管理職の若返りが進む一方、飛び級で昇進していく人もいるという。飛び級はもちろん直属上司の力のおよぶ範囲ではない。前出の流通業の人事部長は「40歳で部長になる人が出てきているが、現行の人事システムでは飛び級を繰り返さない限りは到達できない。社長や副社長など経営層の意思が働いており、基本的に経営層に人脈を持っている社員は昇進しやすい」と指摘する。

社内外に人脈を築くことは、会社人生にもプラスになる。平社員や主任クラスでは権限もないし、たいした人脈も築けない。課長クラスで社外の経営幹部クラスの人脈に加えて、社内の経営層に強固な人脈がある人は間違いなく昇進していくという。ただし、経営陣が交代すれば一緒に取り替えられるリスクもある。前出の大手ゼネコンの人事部長は「経営者が交代する5~6年の間に、気を抜くことなく自分の地盤を築くことが大事だ」とアドバイスする。

一部の社員が昇進していく一方で、降格ないしはリストラの憂き目にあう社員も増加している。雇用調整のターゲットに真っ先に挙がるのが管理職だ。前出の流通業では内部で一定のルールを設けている。

「課長、次長クラスのうち部長候補なのかどうかを毎年色分けしている。昇進後、最長4年間で部長になれないと見なされた社員は落とすようにしている。降格後1年間はチャンスを与え、仕事ぶりを見るが、それでも使えないと判断すれば退職させるように指導している。ほとんどが辞めていく」(人事部長)