仕事を効率的にこなす人と、そうでない人の差は何か。トヨタの現場で鍛えられたプラス・ドライブ代表取締役の原マサヒコさんは「多くの人が『当たり前』だと思っている習慣の中に、名もなきムダが潜んでいる。それに気づかない限り、時間に追われる生活からは抜け出せない」という――。(第1回)

※本稿は、原マサヒコ『トヨタの時短術』(日経ビジネス人文庫)の一部を再編集したものです。

オフィスで時計を見ているビジネスマン
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混雑を避けるだけで人生の質は変わる

会社に所属している人のなかには、朝に「通勤」する人もいると思います。では、みなさんは毎朝、何時に出社していますか? 8時半? 9時ちょっと前? 電車の場合、8時前後には大体「通勤ラッシュ」がありますよね。

周囲から圧迫されて苦悶の表情を浮かべる人や、なかには耐えきれずに途中で電車を降りてしまう人もいます。そして、車両の故障や人身事故が発生して電車が止まってしまうと、もう大変。混雑したホームには入場規制がかけられて、駅周辺は大勢の人でもみくちゃになります。

新宿の駅で通勤
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なぜこんな状態になってしまうかといえば、9時に出社するためにみんなで同じような時間帯の電車に乗るからです。そして、時計の針が12時を指すころには、今度は会社の周辺にある飲食店が混みあい、入店するための行列ができたりもします。

普段はなんてことないお蕎麦屋さんでも、お昼になれば食券を買い求めるサラリーマンでいっぱいになったり、オシャレなイタリアンレストランには財布を小脇に抱えた女性たちが列をなしていたりします。

そして、ようやくお昼にありつけたと思ったら、すぐに午後の仕事がはじまるということで、そそくさとオフィスに戻る姿もよく見かけます。さらに、ネットバンキングやキャッシュレス決済が普及している今でも、給料日のお昼休みにATMの前にできた長蛇の列に並んでいる人を見かけます。

トヨタの教えで気づく名もなきムダの正体

現金を下ろしたり振り込みをしたりするために、貴重な時間を割いているのです。これらは、昔からよく見る光景だし、「当たり前のことだ」と思っていないでしょうか?トヨタには昔から「自分がやっていることは正しいという気持ちを捨てろ」という教えがあります。

今までやってきたことを疑い、何か別のいい方法はないかと常に考えるということです。

前述の例でいえば、いずれも共通して「ずらす」ことができるはずです。通勤ラッシュが嫌なら、電車が空いている早朝に会社にいけばいいじゃないですか。もし、会社やビル自体が施錠されて開いていないなら、会社近くのカフェにでもいけばいいわけです。

そうすれば、満員電車でムダに体力を消耗せずにすむはずです。お昼休みはピークをずらして遅めにすれば、並ばずにお店に入ってゆっくり過ごすことができるはずです。ここからさらに「今までやってきたことを疑って考える」場合、そもそもお昼ご飯は必ず食べなければいけないものなのでしょうか?