認知症予防には何が効果的なのか。認知症専門医の繁田雅弘さんは「脳トレドリルや早口言葉では脳の一部しか鍛えられず、脳の老化を防ぐことはできない。それらよりも効果的で認知症予防にうってつけの趣味や家事がある」という――。

※本稿は、安藤なつ(メイプル超合金)、繁田雅弘『知っトク認知症 家族と本人が自分らしく暮らし続ける超入門』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

数学のテスト
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脳トレドリル、早口言葉は脳の老化を防げない

書店に行くと、「脳を若返らせる」とうたうドリルが数多く並んでいます。もちろん、それらに取り組むこと自体を否定するわけではありません。たとえ90歳の方でも、毎日こつこつと練習を続ければ、早口言葉がスラスラと言えるようになったり、暗算のスピードが上がったりすることは十分にあります。人間には、いくつになっても新しいことを習得する力が備わっているからです。

ただし、そこで鍛えられるのは脳のごく一部分にすぎません。計算が速くなったからといって、アルツハイマー型認知症の原因とされるアミロイドβや、レビー小体型認知症に関わる異常たんぱく質の蓄積を止められるわけではありません。つまり、「早口言葉の達人」や「計算のプロ」にはなれても、脳の老化や病気の進行そのものまで制御できるわけではないのです。

もし本気で、認知症の発症や進行を少しでも遅らせたいと考えるなら、脳の一部分だけを研ぎ澄ますよりも、記憶、判断、感情、運動など、脳の多くの領域が連携して働くような活動に目を向けることが重要です。

では、脳の多くの領域を使う活動とは、具体的に何を指すのでしょうか。