イラン戦争の停戦協議はどうなるのか。防衛大学校共同研究員の伊藤隆太さんは「鍵を握るのはトランプでも習近平でもない。イスラエルが攻撃を続けるイランとは別の戦場が停戦協議を左右している」という――。
仲介に乗り出した中国
中国は今回の中東危機で、傍観者ではなかった。中国外務省は3月31日、中国とパキスタンによる「平和と安定回復のための5項目イニシアティブ」を公表し、対話再開と緊張緩和を打ち出した。
中国外務省は4月7日、王毅外相が関係国と26件の電話協議を行ったと定例記者会見で説明し、停戦を促す姿勢も鮮明にした。また、ロイターは3月21日、中国が2025年に海上輸出されたイラン産原油の8割超を購入していたと報じた。ここだけ見れば、中国が停戦の主役に見えるのも無理はない。
では、中国の停戦介入でイラン攻撃は本当に止められるのか。結論からいえば、中国はイランに自制を促すカードを持つ一方、地域全体の停戦を一人で決められる位置にはいない。中国は「入口」を開く力はあるが、「最後の合意」を押し切る国ではないのだ。なぜそう言えるのか。
まず、中国がイランに対して一定の圧力をかけられる最大の理由は、原油である。ロイターは3月21日、制裁下でイラン産原油の主な買い手がほぼ中国に限られ、中国が2025年に海上輸出分の8割超を引き受けたと報じた。しかも中国の独立系製油所は、米制裁の強化局面で調達を絞ることがあり、中国が購入量や決済・取引環境を揺らせば、それはイランの外貨収入に直結しうる。だから中国が自制を促せば、テヘランは耳を傾けざるをえない。

