三層構造が停戦を難しくしている

今回の中国による中東への停戦介入は失敗だったのだろうか。結論としては、失敗ではない。というよりも、はじめから中国には停戦の成否を分ける位置にはいなかったのだ。

中国はイランに圧力をかけ、交渉の糸口をつくる力を持つ。パキスタンはその対話のパイプを回している。だが同時に、停戦介入に対米配慮の側面があったとしても、それは停戦交渉の後方支援以上のものにはなりにくい。習近平の対米配慮は、停戦を最終的に決める力にはならなかった。

つまり、本当の構図はこうだ。中国は交渉の呼び水となる大国であり、パキスタンは「交渉の実務国」である。だが、地域全体の停戦を最後に左右するという意味で、イスラエルは現時点で「唯一の鍵を握る国」である。この三層構造で見れば、中国の仲介が話題でも停戦がすぐ決まらない理由が見えてくる。

中国は後方支援として一定の役割を果たす。だが、それだけでは停戦できないのだ。この冷たい現実こそが、今回の停戦外交の本質である。

この見取り図に立てば、「中国が出てきたのに、なぜ停戦は進まないのか」という違和感は自然なものだとわかる。中国は交渉の糸口をつくる。イスラマバードは対話を回す。だが地域全体の火勢を弱められるかどうかは、レバノン戦線を抱えるイスラエルの判断にかかっている。

中東における停戦外交の本質は、中国の失敗ではなく、停戦を決める権力が1カ所に集まっていないことにある。注目を集める大国の名前だけを追っても、外交のリアルは見えてこない。誰が原油を買い、誰が交渉の場を回し、誰がレバノン戦線を止める拒否権を握っているのかまで見てはじめて、「本当の外交力」の所在が見えてくる。

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