※本稿は、石黒成治『糖質リスク 自覚なき「食後高血糖」が万病を招く』(SB新書)の一部を再編集したものです。
朝食を菓子パン&カフェオレにすると…
朝、コンビニで甘い菓子パンとカフェオレで手軽に朝食をすませたとします。すると体が少し熱く感じ、体調が悪いわけではないのに、昨日の疲れからか午前中のパフォーマンスが上がらない……そんな経験はありませんか? しかもそのとき、なんとなくお腹の調子も優れない気がしたことはないでしょうか。
これは腸と血糖の間に密接なつながりがあるサインであり、砂糖たっぷりの朝食による食後血糖スパイクと、それに伴う腸の炎症が起こっていることを意味します。体の中で「腸」と「血糖」はまるで車の両輪のような関係です。腸の調子を整えるほど、食後の血糖値の乱高下(血糖スパイク)は穏やかになります。逆に血糖値が安定しているほど腸への負担も軽く、快調なお腹を保ちやすくなります。つまり腸と血糖はお互いに支え合いながら健康を維持する二輪駆動の関係なのです。
腸は単に食べ物を消化するだけでなく、食事に応じてインスリンの分泌を促すホルモン(インクレチン)を出すなど、血糖調節に積極的に関わっています。腸内環境が良好だと栄養の吸収も緩やかになり、食後に血糖値が急上昇しにくくなります。
腸が慢性炎症になり、血糖値上昇
(腸本来のバリア機能が失われ、本来通してはいけない物質が腸をすり抜けてしまう)リーキーガットの状態では、細菌の成分(例えばLPSなどの毒素)や未消化の食事成分が血液中に入ると、免疫がそれを異物として攻撃し、炎症が起こります。これが繰り返されると「慢性炎症」と呼ばれ、インスリンが効きづらい状態(インスリン抵抗性)を招きます。
こうした腸由来の慢性炎症はインスリンの働きを妨げ、血糖値をさらに上昇させてしまうのです(Biomedicines. 2024 38927482)。実際、肥満や2型糖尿病では腸から毒素が漏れて軽い炎症が続いていることは確認されています(Am J Pathol. 2013 23201091)。
腸内環境を整えると、炎症が治まりインスリンの効きもよくなることが期待できます。例えば腸内細菌が作り出す酪酸や酢酸などの短鎖脂肪酸は、腸のバリアを強化して炎症を抑え、肝臓や筋肉でのインスリン抵抗性を改善する作用があります(Rocz Panstw Zakl Hig. 2022 35322958)。さらに、腸内細菌の多様性を高めるような食事介入によって腸のバリア機能とインスリン感受性が向上し、空腹時血糖やHbA1c(長期の血糖指標)が改善した例も報告されています(Eur J Clin Nutr. 2015 25369829)。

