緊張するとお腹がユルくなるワケ
腸と血糖の関係は脳や自律神経を介してもリアルタイムに影響し合っています。緊張したり強いストレスがあったりすると、なんとなくお腹の調子が悪くなる経験は誰にでもあると思います。
これはストレスにより自律神経が乱されて、腸の動きが変化するためですが、同時に増えたストレスホルモン(コルチゾールなど)も腸に作用します。コルチゾールは腸のタイトジャンクションを緩め、腸内細菌のバランスも変えてしまうことがわかっています(Front Microbiol. 2020 32010111)。このストレスホルモンもまたリーキーガットを誘導し、腸内の炎症や不調が起こりやすい環境にしてしまいます。
さらにストレス反応で分泌されるアドレナリンやコルチゾールは、血糖値も一時的に上昇させます。つまり、慢性的なストレスがあると腸内環境の悪化と血糖コントロールの悪化が同時に進行し、悪循環に陥る恐れがあります。逆に腸から発せられる信号は脳に伝わり、気分やストレス反応にも影響します。お腹の調子が良ければ脳には安心の信号が送られています。このように、リアルタイムで腸と脳が双方向に交信し合っている状態は「脳腸相関」と呼ばれています。
このように、血糖コントロールには腸活が不可欠です。血糖値だけに注目して糖質制限するだけでは、血糖をコントロールするための体作りとしては不十分です。腸を健康に保つことが糖尿病予防や血糖管理の重要な鍵となります。腸と血糖という2つの車輪をセットで回すことで相乗効果が生まれ、健康的なサイクルを長く維持できるのです。
理想的な腸内環境とは?
私たちの腸内には数百~数千種類もの細菌が棲みつき、腸内細菌叢と呼ばれます。
それらが作る「腸内環境」が良好であることは全身の健康に深く関わっています。では「良い腸内環境」とは具体的にどのような状態でしょうか? それは大きく分けて、腸内細菌叢の多様性(様々な菌がバランスよく共存)、安定性(乱れてもすぐ元に戻る回復力)、そして低炎症性(腸が刺激や毒素に対して過剰な炎症を起こしにくいこと)の3つの観点に注目する必要があります。

