睡眠の質を改善するには何をするといいか。睡眠科学者のメライン・ファンデラール氏は「ダイエットや禁酒と同じで、数週間かかるが、そこを持ちこたえると効いてくる睡眠制限療法を数日続けると、寝つきや睡眠が改善することに気づくはずだ」という――。
※本稿は、メライン・ファンデラール『熟睡力』(新潮新書)の一部を再編集したものです。
睡眠6時間半で日中の気分も改善
睡眠圧を高めると入眠が早くなり、深く眠れるようになる。不眠症だと就床時間が長くなる傾向があるが、逆効果なのだ。
睡眠圧が低下して寝つきが悪くなり、睡眠が断片化するなどの問題が増すことになりかねない。断片的な睡眠自体は必ずしも問題ではない。
不安や緊張につながっていると感じる場合に問題となるのである。
睡眠の進化論的な基盤を考えると、睡眠制限療法の目的は、長く、また途切れず眠ることではなく、夜をゆったりと寛いで過ごすことだ。睡眠圧の生物学的な仕組みを用いて不安な時間を短縮し、日中もゆったりと過ごせるようにする。実際私も目にしている。
睡眠制限療法を受けた患者は、中途覚醒があっても気に病まなくなった。そして、眠れる自信を取り戻した。就床時間を短くするという一見矛盾した療法を通じて、睡眠の中でも特に中途覚醒への対処法を変えることを学んだのだ。
おかげで治療開始時と比べて睡眠時間はそれほど長くなっていないのに、患者が新たな睡眠のパターンに満足するのを私は定期的に見ることになった。
睡眠制限療法は最終的に私を不眠症から救った。私の睡眠の見方は療法を受けて数週間で変わった。2週間の治療後には、いつものように睡眠は6時間半だったのに、夜をリラックスして過ごせるようになり、日中の気分も大きく改善した。

