自分ひとりで睡眠制限療法を取り入れる方法

睡眠制限療法は自分ひとりでもできるだろうか? 答えはイエスだ! また、ほとんどの場合、非常に効果的で安全である。ただし、てんかんや重度の精神障害がある場合は事前にかかりつけ医、または医療従事者に相談することが大切である。

以下、順に説明する。

・まず1週間、睡眠ダイアリーをつける。1週間後、自分の睡眠時間の長さ、就床時間の長さの平均を振りかえってみる。

・平均睡眠時間を平均就床時間で割り、出た数値に10を掛ける。するとパーセンテージが出る。これを睡眠効率と呼ぶ。睡眠時間が平均6時間、ベッドにいた時間が平均8時間だったとすると、(6÷8)×100=75、つまり、睡眠効率は75%となる。

・不眠症の場合、睡眠効率が83%を下まわると低い値とみなされ、夜ぐっすり眠れていない可能性がある。不眠症の治療は、睡眠時間を長くすることや夜中の覚醒時間を短くすることが目的なのではなく、夜中の覚醒時間を減らして安眠につなげることであると覚えておいてほしい。睡眠効率という値を用いる理由はそれだ。覚醒したまま(緊張状態で)横になっている時間の長さが数値として表れるからだ。不眠症でない場合は、睡眠効率が低くても身体機能は良好なことがある。というのはハヅァ族同様、夜中に覚醒しても寛いだ状態で横になっているだけだからである。

・不眠症の場合、就床時間を短くすることが睡眠効率の値を高めることになる。まずは最初の1週間の平均睡眠時間を確認し、就床時間の予定を立てる。

・2週目は1週目の平均睡眠時間に30分を加えた時間を毎晩の就床時間とする。例えば毎晩最長6時間半を就床時間と設定するとしよう。その時刻に合わせて目覚まし時計をセットし、就寝する。その晩の睡眠時間の長短にかかわらず、アラームが鳴ったら起床する。

メライン・ファンデラール『熟睡力』(新潮新書)
メライン・ファンデラール『熟睡力』(新潮新書)

多くの人には一種のチャレンジに聞こえるかもしれない。私の患者の大半は療法を開始した1週間後は以前よりも疲労し、集中力の低下や新たに生じた眠気に悩まされた。

しかし、それはごく普通のことなのだ。身体を新たな睡眠スケジュールに慣らす必要があるのだが、眠いというのはよい兆候で、睡眠圧が高まったということだ。

睡眠制限療法を行っている間にはネガティブ思考が押し寄せ、諦めたくなるかもしれないが、そこをなんとか持ちこたえよう! ダイエットや新しいエクササイズ、禁酒と似ている。

たとえ困難でも、初期の大変な時期に諦めず数週間耐えぬくことが大切なのだ。そうすれば次第に楽になってくる。

就床時間をできる限り一定に保つ

睡眠制限療法を数日続けると、夜の睡眠によい影響が現れてくるだろう。数日後には寝つきや睡眠がいくらか改善したことに気づくはずだ。すると夜ゆっくり眠れるようになっていく。ただ、睡眠は改善しても日中の疲労感は残るかもしれない。身体が新しいリズムに完全に慣れるには数週間かかることが多く、しばしの忍耐が必要となる。

次のステップは以下である。

・続く週も睡眠ダイアリーをつけ、睡眠効率を毎週計算する。

・睡眠効率の値が83〜85%以上になったら、就床時間を週ごとに15分ずつ増やす。

しばらくすると、就床時間と睡眠時間の最適なバランスがつかめてくる。睡眠効率の値が少なくとも83%あれば上出来! 睡眠制限療法前と同じか、少し長めに眠ってもいい。すると夜が以前よりリラックスしたものになっているだろう。そこが大切なのだ。

現代の狩猟採集民のように、夜中の覚醒時間をありのままに受け入れ、リラックスした状態で横たわっていられるなら、ある段階で睡眠制限を少し緩和することもできる。

ただし、概日リズムを維持するためには、就床時間をできる限り一定に保つことが大切だ。

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