※本稿は、メライン・ファンデラール(著)、國森由美子(訳)『熟睡力』(新潮社)の一部を再編集したものです。
恋愛感情の「強さ」は睡眠の質を左右する
先史時代の人々がどのように恋をしていたのかはわからないが、現代と同様、肉体的な魅力は重要な役割を果たしていたに違いない。よく休み、心身ともに健康そうな相手はより魅力的だったはずだ。なぜなら子孫を繁栄させ、よく守り、世話してくれるだろうからだ。
では恋愛と睡眠の関係は科学的にはどのように考えられているのだろう?
エビデンスによって影響の方向は異なるものの、恋をすると主観的な睡眠の質に影響が生じる可能性がある。思春期の若者では恋と入眠のしやすさには関連性があることが、2件の研究からわかっている。また、恋愛感情が強まると夜中の覚醒回数や睡眠問題は減少した。
他方、別のある研究は思春期の女子が恋をすると睡眠時間が短くなると指摘し、他の関連調査のほとんどでは恋愛感情と睡眠には関連性がないとしている。
こうした結論の相反する研究間での重要な違いは、ポジティブな効果がみられた最初の2件の研究では恋愛感情の主観的な強度を測定したのに対し、その他の研究では恋愛感情の有無のみを調査したという点である。
睡眠不足は見た目の魅力を下げる
恋愛感情と夜の睡眠の向上の間に関連があると考えられる理由はなんだろう? メカニズムの1つとしては、よく眠ると気分も上向きになり、活力も増すということだろう。よく睡眠をとると性的な感情の表出が増加すると考えられる。
主観的な睡眠の質が高いことで、身体的な魅力も改善されるかもしれない。ある研究では40人のオブザーバーに、通常どおり眠った人と睡眠不足になるプロセスを経た人の写真10枚を評価してもらった。
すると、睡眠不足の人々はまぶたが垂れ下がっている、目が赤く腫れている、目の下のクマが濃い、顔色が悪い、しわが多い、口角が下がっているなどと評価された。
重要な点は被験者が31時間眠らず睡眠不足になった後、5時間の睡眠をとっていたことだ――これは実生活で経験する以上の極端な睡眠不足である。それはともかくとして、よく眠ることは外見を磨くのに役立つようだ。
恋をしたい時期に相手を見つけるには、身体的な魅力や活力が重要だが、主観的な睡眠の質がよいと、魅力や性欲が高まる可能性がある。逆に睡眠不足だと、相手探しの意欲も性欲もおそらく減退すると考えられる。

