眠りの質が低いとパートナーへの攻撃が増える
極端な場合、夜の睡眠の状態が悪いと愛し合う二人が互いに攻撃的になりかねない。主観的な睡眠の質が悪いことと、相手を心理的および身体的に虐待することは関連している。睡眠の状態が悪いと虐待行為を悪化させる可能性があると研究でわかっているのだ。
そうなると互いの緊張は高まり続け、睡眠の状態がさらに悪化し、余計に相手を攻撃するという悪循環に陥ってしまうことが容易に想像できるだろう。
パートナーを失ったり恋愛関係が終わったりすると、夜の睡眠の状態が悪くなることは多い。恋人と別れてまもない大学生には睡眠の問題が増える。パートナーの死による深い悲しみも睡眠問題と関係がある。残された家族には一般的に、主観的な睡眠の質の低さ、入眠困難、睡眠時間の短さ、不安による夜中の覚醒の多さが見られる。
総じて、恋愛関係の質と睡眠には強い関連性があるようだ。恋愛感情が強まると主観的な睡眠の質が向上しやすい一方で、愛する人を失うと、当然であるとはいえ、睡眠の状態が悪くなりやすい。
恋愛相手との関係と夜の睡眠の間にはおそらく、ストレスの有無や幸福感が関わっているのだろう。恋愛関係についてのポジティブな感情は心理的な安心感につながり、睡眠を促進するかもしれない。恋愛相手に対する攻撃や衝突は逆の効果を生む可能性が高い。
恋人と一緒に寝るとレム睡眠が増える
恋愛相手と一緒にベッドで眠るとよい効果があるだろうか? これまでの研究では相反する結果が明らかにされている。動作を通して睡眠を測定するアクティグラフィーを用いる科学者もいるが、脳の活動を測定する睡眠ポリグラフ検査より精度が低い。
ある研究はアクティグラフィーでの調査で、一緒に眠るとよく眠れなくなるのが一般的と結論づけた。別の研究では、女性は恋愛相手と一緒に眠るとよく眠れないと結論づけられ、また別の研究では男性は一緒に眠るとよく眠れると結論づけられた。
睡眠ポリグラフ検査を用いた研究では、恋愛相手と一緒に眠ると夜の睡眠にどんな影響が生じるかをさらに詳しく調査できた。研究では24人の健康な若年成人を対象とし、主観的および客観的な睡眠のパラメーターの他、質問票を用いて相手との関係の質を調べた。
この研究では二人で一緒に眠ると夢をよく見るレム睡眠の量が増大することがわかった。興味深いことに、生物学者たちは群れで生活する哺乳類の一種、ハイラックスでも同じ効果を発見した。安定したレム睡眠は安全な環境を知覚していることと関連があり、それがこの睡眠段階でよく眠れる理由ではないかと考えられている。

