人生後半をより良く生きるために夫婦の距離感はどう保つといいか。元外務省主任分析官で作家の佐藤優さんは「いい夫婦関係を保つには、家庭から離れた自分だけの時間と空間を確保することがポイントだ。それは、ビジネスパーソンとして働いていたころと同じような生活サイクルを、擬似的につくることでもある」という――。

※本稿は、佐藤優『還暦からの人生戦略』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

レストランカフェの厨房で働くシニア女性
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パートナーとはあえて距離を置く

拙著『50代からの人生戦略』では、早めに夫婦の関係、家族との関係を再構築すべきだと指摘しました。

残念ながら60代になって、あらためて冷めきった関係を何とかしようと焦っても、ときすでに遅しという感があります。それまで続いていた夫婦の関係性や習慣を、60歳をすぎてからガラッと変えるというのはかなり難しいことです。

そういう場合、親密な夫婦関係を取り戻そうとするよりも、むしろお互いがある程度距離を保ちつつ生活する形にする方が上手くいくでしょう。明治安田生命保険が行ったアンケート調査でも、女性の方は過半数が「一定時間は離れていたい」と答えています。

手のかかる夫、何かと気を使う夫の存在から離れ、のびのびと自由にすごす時間を女性は求めているのです。

これは男性にとっても同じことでしょう。妻の目を離れ、気を抜いてすごす時間がやはりある程度必要なはずです。リタイアして突然、親密さを見せて関係性を改善しようとしても無理がある。長続きしません。

お互いがお互いの目から離れる時間と場所を確保すること。これが60代以降の夫婦円満の秘訣です。もちろん日ごろのコミュニケーションは必須ですが、同時に適切な距離感があることも大切なのです。