増加している熟年離婚の背景とは

厚生労働省の調べによると、離婚件数は2002年の28万9836件をピークに減少し、2019年は20万8489件となっています。

ところがこれを同居期間別に見ると、20年未満の夫婦の離婚件数がほぼ横ばいであるのに対し、20年以上の熟年夫婦の離婚件数は徐々に増加しています。2019年には4万件を超え、全体の5分の1にまで増えています。

それまで妻は離婚をしたとき国民年金分しかもらえませんでしたが、2007年の年金制度改正によって、原則として夫の厚生年金の半分をもらえるようになったことが転機となりました。

さらに、熟年離婚に対する世間の認知度が高まったということもあります。なにより女性の意識が大きく変わってきた。

女性の平均寿命は90歳に達しようとしています。還暦から約30年、長い老後を夫の面倒や夫の両親の介護に費やすなんてまっぴらごめん、というわけです。

夫婦関係は冷めきっていても、子どもがいるうちは我慢して主婦を続ける。夫が定年退職して退職金が出てはじめて、たまりにたまったうっぷんを晴らすように離婚を突きつける。男性にとってはショックですが、熟年離婚のおなじみのパターンです。

ただし、女性が我慢を強いられてきた団塊世代から年齢が下がってくるにしたがって、従来とは違うパターンも出てきているようです。

妻の方が自由奔放で外を飛び回っているため、男性は自分の生活をすべて自分でこなさなければならず、しかも親の面倒も自分が見なければならない。「何のために妻と一緒にいるのかわからない……」という男性もいそうです。

生理的嫌悪感を覚える相手はスパッと決着を

自分勝手な妻とはとても老後を一緒にすごす自信がない。しかるべきお金と財産を分与して、男性の方から離婚を切り出すというケースもあるとか。長く続く人生の残り時間、お互いが精神的に追い詰められながらすごすくらいなら、離婚するというのもひとつの選択肢でしょう。

また、DVがある場合は理屈抜きで別れるべきです。暴力は「癖」ですから治りません。そして必ずエスカレートしていく。高じて刃傷にんじょう沙汰、殺人事件という最悪の結果に行き着く怖れすらあります。

あとは、相手をもう生理的に受けつけなくなってしまった場合。男性より女性の方がそう感じるケースが多いようです。一緒にいるだけで虫唾むしずが走るとか、触られるとゾッとするなど、生理的嫌悪感を覚える相手とはとうてい一緒に居続けることはできません。

マフラーを巻いた高齢夫婦
写真=iStock.com/Edwin Tan
※写真はイメージです

ズルズルと関係を続けてお互いが憎しみの連鎖に陥って疲弊するより、スパッと決着をつけた方がお互いのためです。

そして、いざ離婚という場合は下手に感情を挟まずに淡々と行うのが鉄則です。今は相談までなら無料という弁護士事務所もたくさんあります。まずは自分一人で考え込まず、そうした機関や専門家に相談することをおすすめします。