学歴詐称で「異例」の在宅起訴
3月30日、静岡県伊東市の田久保真紀・前市長が在宅起訴された。
共同通信によれば、田久保氏が訴追された罪は、有印私文書偽造・同行使と地方自治法違反の2つである。前者は、市議会の百条委員会での虚偽証言であり、後者は、偽の東洋大学の卒業証書を市議会議長らに示したものである。
前者については、珍しいのではないか。新聞記事や判例のデータベースを見ても、告発された例は散見されるものの、起訴に至った案件は少ない。2003年に千葉県松戸市の市議(当時)が、百条委員会で虚偽の証言をした罪に問われたもので、3年後に千葉地裁松戸支部が禁錮10カ月(当時)、執行猶予3年の有罪判決を言い渡し、判決が確定した。
起訴されてこなかったのは、検察側に有罪判決を得られる確証がなかったからであり、裏を返せば、今回の田久保氏については、静岡地検が自信を持っている証左と言えるのではないか。
世間の琴線に触れる「2つの要素」
その自信は、もうひとつの罪状にかかわるとみられる。有印私文書偽造・同行使とは、田久保氏が「東洋大を除籍されていたのに、昨年5月29日から6月4日、自宅または周辺で、卒業者として自身の名前を書き、インターネットを通じて業者に作成させた印鑑を押し卒業証書を偽造」したというものである(「田久保前市長を在宅起訴 自ら『卒業証書』偽造か 学歴詐称疑惑、法廷へ」共同通信、2026年3月30日)。
田久保氏側が、どのような主張をするのかは定かではない。しかし、仮に田久保氏が、自分のものではない印鑑を使って、卒業証書を作り、それを見せていたとしたら、それは刑法159条に触れる、というのが、検察当局の判断なのだろう。
こうした異例とも言える起訴への経緯は、たしかに、私たちが今もなお、この事件に関心を持ちつづける動機のひとつに違いない。ただ、それ以上に、田久保氏の言動が、世間の琴線に触れる要素があるのではないか。少なくとも2つの要素があるのではないか。

