“東京編”をもっと見たかった
NHK朝の連続テレビ小説「ばけばけ」が終わった。
半年間、毎朝トキ(髙石あかり)とヘブン(トミー・バストウ)の物語を追いかけてきた視聴者は、いま「ばけばけロス」の真っ只中にいることだろう。
最終回前日までの急な波乱に満ちた展開には動揺したが、最後は朝ドラらしい爽やかな終わりを迎えてホッとした。とりわけ秀逸なのは蚊のシーン。八雲がスペンサーの進化哲学と仏教を混ぜて独自の輪廻観にたどり着いたように、このドラマも生と死の境界を軽やかに飛び越えてみせた。
しかし、である。ドラマが終わっても物語は終わっていない。
なにしろ、松江のパートに多くの時間を割いた今回のシナリオ。松江の人々が総じて作品を愛したことはわかっているが……。小泉八雲とセツの物語を語るなら、やっぱり東京に出てからの物語にも尺を割いてほしかったという思いが残る。
それに、前回の記事で書いた通り、八雲亡き後のセツの人生はまだ28年間。そして、息子や娘たち、その家族を通じて八雲の物語は、現代へと繋がっている。
(参考:「ばけばけ」のセツは“夫の遺言”を守り通した…文豪・小泉八雲が築いた「莫大な財産」の“まさかの使い道”)
「八雲の息子」でスピンオフを
だから、ばけばけロスに苦しむ皆さんに提案がある。続編を望む声は多いだろうが、八雲は死んでいるのだから続編は厳しい。そこで、スピンオフである。
タイトルは『ラフカディオ・ヘルンの息子』。
朝ドラ枠は無理だ。朝8時から、母親が息子の実印を握って勝手に保証人にする話を流したら、全国のお茶の間が凍りつく。かつてNHKにあった「ドラマ人間模様」枠――土曜の夜に、じっくり人間の業を描くあの枠、で放送してほしい。
ここで描かれるセツは朝の連続テレビ小説とはまったく違う人物となるだろう。
怖い。そして業が深い。そんな母親の相手をする長男・一雄は真面目で、割を食い続ける長男。何をされても母を嫌いになれない息子なのだ。
第1話冒頭から物語は只者ではないはずだ。卵の数をごまかした少年時代の一雄が母・セツに引っぱたかれるシーンからスタートするはずである。
(参考:「ばけばけ」では絶対に放送できない…小泉八雲も息子も手に負えなかった妻セツの“ヒステリーすぎる素顔”)
これまでの記事でも書いたように、セツはキレると手がつけられない。八雲も慌てて養母・チエに助けを求めていたほどだ。そのキレぶりたるや、物を投げる、襖を壊す程度では済まない。叫びまくって最悪の結末すらちらつかせてくるのである。

