健康的な昼寝の取り入れ方は何がいいか。睡眠科学者のメライン・ファンデラール氏は「日中の短い昼寝が認知能力によい影響を及ぼすことにはエビデンスがあるが、長めの昼寝は前夜の就床時間が短すぎた場合にのみ推奨される」という――。

※本稿は、メライン・ファンデラール『熟睡力』(新潮新書)の一部を再編集したものです。

目覚まし時計を止める男性
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過度な眠気で業務上の事故の発生率は2.5倍に

就床時間が短すぎる/長すぎるとはどういうことだろう? 就床時間が短すぎると日中の活動に悪影響を及ぼすことが多い。これは標準的な睡眠の人に、1日3〜5時間以上は就床させない、極端な場合には数日間眠らせないという実験から明らかになっている。

だいたいの被験者に眠気や集中力の低下、気分の落ちこみが見られた。就床時間が短いことで生じうる悪影響の受けやすさの違いは遺伝的なものだ。年齢にも関係がある。

一般的に、高齢者は就床時間が短くてもあまり影響がない。ただ、眠気の客観的な測定と主観的な測定には差がある。客観的に見れば眠気が少なくても、就床時間が短かった場合、高齢者本人は夜ろくに眠らなかった若者と同じくらいの眠気を感じている。就床時間が短すぎると他の悪影響も生じる。過度の眠気で予期せぬ事件や事故が増加する。

建設作業員では過度な眠気がある場合、業務上の事故の発生率は2.5倍高くなる。

寝不足は日中の活動に支障をきたしがちだが、あまりに長時間就床していると、不眠症患者では睡眠が断片化して不安な覚醒時間が長くなり、悪影響が及びやすい。

実際、いくつかの実験では被験者の就床時間が通常よりも長かった場合、中途覚醒の頻度が増した。睡眠が飽和状態になるのだ。就床時間がより長くなればさらに顕著になる。