長めの昼寝でも最大90分に

では、どのように昼寝をすればいいのか? 短い昼寝をする場合、30分以上にならないようにするのがいい。さもないと睡眠慣性――目覚めた直後に起こり、しばらく続く眠気――に悩まされるかもしれない。

長めの昼寝は前夜の就床時間が短すぎた場合にのみ推奨される。その場合は90分にしよう。90分後には大半の人が睡眠周期を一巡しているので、すっきりと目覚められるだろう。夜更かしした翌日の短い昼寝(30〜60分)は、睡眠不足が認知機能に及ぼす悪影響を補うには不充分に思われる。

昼寝のタイミングや頻度も重要だろう。週に3回以上、また一度に2時間以上昼寝をすると主観的な睡眠の質が低下する。遅い時間(例えば午後6時から9時の間)に昼寝をすると、夜の睡眠時間が短くなりかねない。

目覚まし時計を止める女性
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昼寝は慢性的な不眠症を引き起こすきっかけになるだろうか? 無計画に昼寝をするのと生活の決まったパターンとして取り入れるのとでは違いがあるようだ。

前者では慢性的な不眠症を発症する可能性が3倍高くなる。昼寝を日常生活に取り入れる場合、可能性は3倍ではなく1.5倍ほどに留まる。

この差はどこから来るのだろう? 前者は後者よりも夜の睡眠不足を補填するために睡眠をとる傾向が強いからかもしれない。

不眠症の人には裏目に出る

不眠症の場合、昼寝をすることは賢明だろうか? 昼寝は逆効果の可能性が高いことがわかっている。眠りたいだけ眠る場合と同じく、不眠症の人は昼寝をしない方がいい。

もちろん幾晩もろくに眠れなかったら、たとえ日中であろうとも少しでも眠れれば嬉しいに決まっているが、睡眠不足が長期化し、頻繁に昼寝をする人ほど夜中に覚醒して就床時間が長くなり、不眠症だとその時間を不安な気分で過ごすことになる。

昨年私は、昼寝が早期死亡につながるかもしれないという新聞記事を読んだ。こうしたニュースでは出典の確認が常に大切である。記者は頻繁な昼寝と高血圧や脳卒中とは関係があるらしいとするミン=ジン・ヤン率いる研究グループの研究に言及していた。

しかしながら論文には、この研究は関連性や相関関係を述べたもので因果関係までは示していないと明記されている。そもそもある身体的な問題が高血圧や脳卒中の原因になるだけでなく、昼寝が増えることにもつながるという説明なら話はわかる。

そうした例としては睡眠時無呼吸症候群がある。同症候群は日中に過度の眠気を引き起こし、昼寝の増加につながる。また、心血管疾患のリスクも高める。

日中の昼寝が多いのはよくないという通説は別にして、昼寝が早期死亡につながるという主張はこれもまた睡眠の世界に害をもたらす、悪いジャーナリズムの例だ。