日本のメディアは取り上げないが、ロシアでは大問題に
ロシアのプーチン大統領は5月9日、戦勝記念日の式典における演説で、ウクライナへの「特別軍事作戦」を改めて正当化しました。
ドンバス(引用者註:ウクライナのドネツク州とルハンスク州)では、さらなる懲罰的な作戦の準備が公然と進められ、クリミアを含むわれわれの歴史的な土地への侵攻が画策されていた。キエフは核兵器取得の可能性を発表していた。
ロシアが行ったのは、侵略に備えた先制的な対応だ。それは必要で、タイミングを得た、唯一の正しい判断だった。(訳はNHKのHP)
停戦条件などの具体的な言及はなく、この戦争が長期化しそうな見通しを裏付けただけでした。停戦を実現できない最大の理由がプーチン大統領の野望にあることは当然ですが、ドイツのショルツ首相の4月19日の発言も原因のひとつになった、と私は捉えています。日本のマスメディアはほとんど取り上げていませんが、ロシアでは大きなニュースになりました。
独ショルツ首相の発言で、戦争の勝敗ラインがはっきりしてしまった
ベルリン発のロシア国営タス通信の報道を、そのまま引用します。
会議にはジョー・バイデン米大統領、アンジェイ・ドゥダ・ポーランド大統領、エマニュエル・マクロン仏大統領、クラウス・ヨハニス・ルーマニア大統領、ボリス・ジョンソン英首相、岸田文雄・日本国首相、マリオ・ドラギ伊首相、シャルル・ミシェル欧州理事会議長、イエンス・ストルテンベルグ北大西洋条約機構(NATO)事務総長、ウルズラ・フォンデアライエン欧州委員会委員長も参加した。
「欧州連合(EU)並びにNATOにおけるパートナーと共にわれわれは、この戦争でロシアが勝ってはならないとの見解で完全に一致している」とショルツは述べた。
この発言の何が重要か。戦争に勝ったか負けたかという評価は、勝敗ラインをどこに引くかによって決まります。逆に言うと、双方が勝敗ラインについて合意しなければ、戦争は止められません。欧米の主要国の指導者は、この戦争の勝敗ラインを明確にしてきませんでした。しかし米英仏独日やEU、NATOの首脳が顔をそろえた会議後の「ロシアを勝利させない」という発言は、西側全体の目標と受け止められます。この目標は5月8日にオンラインで行われたG7首脳会合でも確認されました。