つまらないアイデアを持ちかけられた、どう答えればいいのか。戦略デザイナーの佐宗邦威氏は「新しいものを育てる会話にしたほうが互いにトクをする。たとえばどんなアイデアにも『面白いね!』と相槌を打ってみてはどうだろうか」という――。

※本稿は、佐宗邦威『模倣と創造 13歳からのクリエイティブの教科書』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

青とピンクの付箋に描かれたたくさんの電球
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作品を人に見せたときの反応がその後を左右する

あなたは過去、絵でも工作でも、自分の作品を誰かにシェアしたことがありますか? もし、シェアしたことがあれば、そのときにどんな反応をもらったか覚えていますか?

僕が思い出すのは幼稚園児のときに通っていたお絵かき教室での記憶です。当時大好きだった絵本『ぐるんぱのようちえん』(福音館書店)の絵を描いて、その絵を親に見せたとき、「この絵はすごくうまい。雲の形が風の吹いている方向まで描写されている!」と言ってもらってすごく嬉しかった思い出です。実際には、雲の形なんてそこまで考えていなくて、たまたま気分で描いただけだったのですが、なんとも言えない幸せで温かい気持ちになったことをいまでも覚えています。

こういう体験はとても貴重です。初めて自分が表現した作品を披露をするときは本当に勇気がいるし、ドキドキするものです。その1回で、もし「うーん、イマイチだなあ。ここはこんなふうにしたほうがいいんじゃない?」というような大人の反応をされようものなら、あなたのなかの子どもらしい創造脳は自分の殻に閉じこもってしまって出てきてくれなくなります。