がん宣告後やがん検診後に、高額品を衝動買いする人がいる。ファイナンシャル・プランナーの黒田尚子さんもかつて乳がんに罹患した後、マイホームをキャッシュで買った。「『がん治療を頑張ったご褒美に』『つらい気持ちを紛らわせたくて』と、高級な自動車、バッグ、アクセサリー、時計などを購入したり、豪華な旅行をしたりする人もいます」。その消費心理のメカニズムとともに、「衝動買い」で後悔しやすい5つのタイプと対処法も伝授しよう――。
おぎやはぎ・小木が「がん検診」後に高級車を衝動買いした理由
今年9月、お笑いコンビ「おぎやはぎ」の小木博明さん(50)が「人生最高額の衝動買い」という見出しのネット記事が目に留まった(スポニチアネックス、9月3日)。小木さんは、昨年、ステージⅠの腎細胞がんが見つかり手術を受けている。
腎細胞がんは、腎臓にできるがんの一つ。発症する割合は10万人に約6人で、がん全体のうちの約1%を占める。男性のがんのうち、最も罹患者が多いのは前立腺がんで約9万2000人とダントツに多いが、腎細胞がんは約2万人(2018年:国立がん研究センター、全国がん登録罹患データ)。やや男性に多い傾向がある。
5年相対生存率(2009~2011年)は68.6%(男性70.4%、女性64.8%)となっているが、ステージⅠなら90%を超える。早期に発見して、治療ができて何よりだった。
記事によると、小木さんは、ちょうど1年目のがん検診の結果に異常がなかったため、安心感からか、検診後に店舗へ直行し、ハイテンションのまま、その場で「数百万円じゃきかない」高額な車を2年ローンで買ったという。
こうした衝動買いをしてしまうがん患者は小木さんだけではない。実際、この記事には、似たケースとして、元「雨上がり決死隊」の宮迫博之さん(51)の名前が挙げられている。がんが見つかった後に、高級腕時計を購入したらしい。
今回のコラムでは、ファイナンシャル・プランナー(以下FP)かつ自身もがんサバイバーである筆者が、その実態と心理メカニズムを解説したい。実は、この心理を知ることは、がん罹患者でない場合でも役立つ。緊急事態宣言が解除された今、一気に消費欲求が爆発してしまうおそれのある人が少なくないのだ。