「海外から高級腕時計ロレックスのデイトナを仕入れて、買い取り店で売れば儲けられる」――。30代女性はマッチングアプリで出会った自称資産家の40代日本人男性と対面した際、そんな話を持ちかけられ、時計2本分として後日、計440万円を男に振り込んだ。ジャーナリストの多田文明氏は「転売することで計360万円儲かるという話でしたが、時計は女性の元に届かず、男はすでに海外出国していました」。なぜ女性は見ず知らずの男の話を信用したのか――。
ロレックス・シードゥエラーの接写
写真=iStock.com/felixmizioznikov
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警戒しながらも…怪しい「おいしい話」に乗ってしまうまでの一部始終

今年9月、27歳の男が警視庁に逮捕されました。この人物は「海外から高級時計を仕入れて、買い取り店で売れば儲けられる」と20代男性に嘘の投資を持ちかけて約200万円をだまし取った疑いがあります。被害者は200万円を借金して支払ったといいます。

このニュースをある30代の女性に見てもらったところ、「私からお金をだまし取った相手の顔とは違います。ただ『時計を購入すれば、儲けられる』との手口はよく似ています」と話します。

どうやら、高級時計ロレックスの転売を装い、お金を詐取する手口が横行している可能性があります。

女性は今年初めに、マッチングアプリで出会った40代男性から、ロレックスの時計の購入を持ちかけられて、400万円を超える被害に遭っています。

都内で会った男は次のようなことを言ったそうです。

「自分はドバイに高層マンションを持っており、ドバイを中心に車関係の仕事をしている」
「自分には多額の資産があり、アラブの皇太子との付き合いもある」
「アメリカでアクセサリー事業にも成功して、映画でも主演を務める有名俳優Kとも友達だ」

いかにも怪しい話ですが、女性はそのフレンドリーかつ落ち着いた話し方などから、そうは思わなかったようです。

「今にして思えば、金持ちであり、有名人との交流をしているという嘘をアピールしていたのですね」

そうした会話のなかで、男は、自分にはお金持ちのアラブ人との付き合いがあるので、「ロレックスの時計を優先的に購入できる」とさりげなく話します。まさかこれが詐欺行為への布石とはつゆ知らず、彼女は興味を持って耳を傾けます。