「コロナでドイツの時計屋の発送遅れた」「税関で時計が止まった」

その後、男から連絡があります。

「ロレックスの白デイトナの注文にキャンセル出たから、それをあなたに譲りたい」

しかし最初の時計もいまだ届かない状況です。彼女は断りますが「一週間後に、最初の時計と一緒に届けられるから」と執拗しつように言われ、会って話すことになりました。

そして男から1本目と2本目の代金計440万円のお金の預かり証にサインをしてもらうことを条件に、彼女は翌日にお金を振り込みます。

しかし、商品は届きません。こうなると儲けが2本購入したロレックスで計360万円出るもくろみで、1本220万円計440万円のお金を男に渡した彼女はいてもたってもいられなくなります。

彼女が矢の催促の電話をするたびに、男は「コロナの影響でドイツの時計屋の発送が遅れている」「税関で時計が止まっていたようだ」などと言い訳をします。謝罪をしながらも、自分に非はないという感じで、のらりくらりとかわすのです。彼女が電話口で烈火のごとく怒ると、「直接、自分でドバイに取りに行く」と。もちろん口から出まかせです。

ドバイのパーム・アイランド
写真=iStock.com/AndreyPopov
※写真はイメージです(本文とは関係ありません)

ついには、男からの連絡もなくなり、彼女は警察に相談します。調べてもらうと、男はすでに国外(アラブ方面)に出国していることがわかりました。しかし、その行方は不明のままです。

男のマンションを直撃……騙しの実態がみえてきた

彼女は男の免許証の住所を頼りに、マンションを訪れて、この男について管理人に尋ねました。すると、「ああ、半年くらい家賃滞納していたね。警察、弁護士、回収業者などがたくさん出入りしていたよ」と教えてくれました。

彼女にしたことと同じような、お金を借りては支払わない行為を繰り返していたようです。管理人は「今年の*月*日には出て行ったね」と付け加えます。

彼女は、心底驚きました。

その日は彼と会った日だったからです。お金に困り、マンションを引きはらったにもかかわらず、その場所に今も住んでいるように見せかけていた。しかも、借金まみれで、家賃も滞納していたにもかかわらず、「資産がある」「稼ぎすぎている」という真っ赤な嘘をつく。最初から、彼女から金を騙す目的で会っていたとみてよいでしょう。