高市早苗首相が、NHK「日曜討論」の出演を直前にキャンセルした。「手を痛めた」から二転三転する説明に「ズル休み」を疑う声が上がっている。実際のところ、どうなのか。医師の木村知さんが、ことの経緯を医学的知見から検証する――。

「日曜討論」当日朝に出演キャンセル

高市首相が「手の痛み」を理由に、投開票日前最後の日曜日に放送されたNHK「日曜討論」を当日朝に突然キャンセルし欠席したことが、大きな問題となっています。

「円安ホクホク発言」による円安加速と物価高対策との整合性や、週刊誌が報じた「裏帳簿疑惑」からの追及を避けるための欠席ではなかったのかと見る向きがある一方で、一部の医師らからは「持病のリウマチの痛みが出たなら欠席はやむを得ない。痛みをおして出演しろというのは、リウマチ患者さんの痛みを理解せずただ揶揄する暴論だ」との意見も噴出。

SNSでは、この「騒動」について今なお議論が沸騰し続けている状況です。

この件については、高市首相本人が同日Xにポストすることによって説明したことをはじめ、その後の「欠席は2日前には決まっていた」とする週刊誌報道と、それに反論する高市首相本人からメールをもらったとするジャーナリスト須田慎一郎氏の動画、さらに木原官房長官の談話など、後からあとから、次から次へと情報が出てきて、政権側の説明も文字通りの「二転三転」。投開票日を目前にして事態は錯綜をきわめています。

高市早苗首相公式X(@takaichi_sanae)
2025年2月1日(日)午前中に投稿されたポスト。高市早苗首相公式X(@takaichi_sanae)より。

そのようななか、私は自らのブログサイトに、2月2日~2月5日にかけて、この「騒動」について医師としての視点から検証した計3本の記事を投稿しました。

それは外科、総合診療、在宅医療とさまざまなフィールドで長年診療を続けてきた医師の目から見て、そして、現在の日本の医療水準をもかんがみれば、今回の事案にあまりにも不可解な点が多すぎたからに他なりません。

本稿では、これらの記事に加筆修正する形で、一連の事案について医師として覚えた違和感と矛盾を読者の皆さんと共有しつつ、投開票を前にあらためて本当の「事実関係」に関する説明を責任政党と政権に求めたいと思います。

「首相への信任」を問う選挙だったのに…

なぜここまで私がこの件にこだわっているかを最初にお伝えしておきましょう。

それは今回の解散総選挙の「大義」は、高市首相自身の説明によれば「選挙によって信任を得られないと国論を二分する政策に果敢に取り組むことができない」などとするものでしたし、高市首相自身が「高市早苗が内閣総理大臣でよいのかどうか。今、主権者たる国民の皆様に決めていただく」と述べていたからです。

首相を信任するには、政策はもちろん、いかなる事案においても、誠実に事実関係を有権者に説明する姿勢を示してもらわねばなりません。

こと今回の事案は有権者の知る権利を担保する大きなツールである各政党の要職者が一同に集って討論する最後のチャンスでした。

高市首相を支持するしないにかかわらず、首相本人の声を聞きたかった有権者は少なくなかったはずです。

本稿はそうした観点を踏まえつつも、あくまで内容は「予断」を排して、純粋かつ冷静に医学的見地から分析したいと思います(ただ紙幅の都合から詳細は記載しきれません。ご興味のある方はnoteもご参照ください)。