都内でパートとして働く51歳の女性には、53歳の夫と大学院生の23歳の娘がいる。女性は将来、老人ホームに入居したいと考えているが、9年後に夫がいくら退職金をもらえるか不明のため、生活費を切り詰めたい。そこで、狙いを定めたのが世帯月収の4割以上を占めている単身赴任中の夫への仕送り費26万円だが――。
会話する男女の後ろ姿
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単身赴任の夫への仕送り「月26万円」は多いのか

「老後資金をどのくらい備えるといいのでしょうか」

そう言って相談に来たのはパートで働いている都内在住の大場美知子さん(51)。単身赴任中の夫(53)、同居している大学院生の娘(23)の3人家族です。手取り月収は大場さんが約8万円、夫が約40万円で計50万円近くあります。年間100万円を貯めることを目標にしていますが、最近はなかなかうまく貯まりません。

現在の貯金額は約1500万円。比較的順調に貯められているように感じますが、本人は老後、老人ホームなどの施設への入所を希望しているため、金額が足りていないことを心配しています。

夫は役職定年時と、60歳の定年時の2回に分けて退職金が出ることはわかっているのですが、具体的な金額の把握はできていないようです。自分たち夫婦は具体的にいくら貯めたらよいのかがわかりませんが、とりあえず可能なだけ貯めていきたい。そう考えています。

しっかりお金を貯められるのは、夫に収入がある定年まで。再雇用で働いてくれるかもしれませんが、給料は減ると聞きますから、勝負は60歳までです。夫の単身赴任はあと2年。終了とともに役職定年となる流れです。加えて、娘も大学院を卒業し、独り立ちする予定(娘の学費は娘自身がバイトと奨学金で負担している)。

夫と一緒に暮らせるようになれば、生活費の重複がなくなるので、支出の総額は減る予定です。ですが、単身赴任手当(4万5000円)は支給されなくなりますし、役職定年すると1割ほど収入が下がるだろうと聞いています。収入も支出も今後変化することになるのですが、その変化を待つよりは今のうちにできることをしておきたいという思いです。

老人ホームなどの老人施設への入居を考えると、かなりの資金が必要です。夫が60歳まであと7年を切っています。とりあえずは「貯める」が先決です。

支出状況を確認すると、夫と美知子さんの収入を合わせた中から、単身赴任先の夫の生活費(26万円)と、美知子さんと娘の生活費(約19万円)を支払っています。毎月の余剰金は、現状では3万円ほど。現状では1年間頑張っても36万円ほどしか貯められません。目標とする年間100万円の貯金のために、あと64万円を作りたいのですが、ボーナス(年90万円)はそれぞれの親元への帰省費や美知子さんが夫の単身赴任先へ行く費用、その他必要なものに使うと残りません。

それならば、今後の減収に備える意味でも、毎月の支出を何とか抑えて貯めていくほうがよいでしょうし、美知子さんもそう考えていたため、一緒に支出を見直していきました。