やたらと高圧的な態度で接してくる人は何を考えているのか。精神科医の和田秀樹さんは「些細なことで相手を責め立て、自分の優位を示そうとする人ほど自分のことを弱者だと思っている。強い態度に出るのは不安の裏返しだ」という――。
※本稿は、和田秀樹『オレサマのトリセツ』(東京新聞)の一部を再編集したものです。
些細なことで威圧的な態度を見せる「オレサマ」
「オレサマ」と呼ばれる人たちがいます。
特定の相手や周囲に対して、つねに威圧的で優越的な態度を取る人たちです。こちらが少しでも反論すると力任せにねじ伏せようとします。
とにかく自分の非は認めず、相手を一方的に責めようとします。自分が勝たなければ気が済まないのです。些細なこと、つまらないことでも勝ちにこだわってその場を制圧しようとします。
いつの時代にもそういうタイプの人間はいたはずですが、いまの世の中はかつてよりはるかにオレサマ人間が増えてきたという印象がないでしょうか。
たとえば電車の中で「バッグが触れた」「肩がぶつかった」「ヘッドホンの音がうるさい」といったぐらいの理由で乗客同士のケンカが始まります。いわば「電車オレサマ」ですが、これはまさにオレサマ同士のぶつかり合いでしょう。
妻に対して徹底的な服従を強いる「亭主オレサマ」。これは昔からいましたが、世間から見えにくいというだけで、相変わらず健在のようです。昔は亭主関白で通りましたが、今の時代は真剣に離婚を考える妻がいます。
レストランやコンビニのような接客業の現場で働く人に暴言を吐くとか、優越的な立場を見せつけるようなカスタマーハラスメント、いわゆるカスハラもオレサマ的な態度といえます。東京都やスーパーの業界団体などがカスハラを防ぐ対策に乗り出しているぐらいですから、問題は深刻です。