偉そうな「オレサマ」ほど実は自信が不足している
目の前のオレサマを見ていると、「この人、何サマのつもりなんだろう」と思いたくなります。こちらを見下して威圧してくるし、自分のやり方や方針を自信満々で押しつけてきます。
「でもこういうやり方もあるけど」と少しでも異論を唱えると「そんなのダメ。私だっていろいろ試したんだから!」と真っ向から否定してきます。あるいは「あなたがそう思うなら勝手にやれば。私は自分のやり方でやるから」と突き放します。オレサマは自信満々なのです。
では自信満々のオレサマは自分を有能で誰にも負けない能力があると思っているでしょうか?
あるいは周囲のみんながその能力や個性を認めて、羨ましがっていると思っているでしょうか?
オレサマはそこまでうぬぼれてはいません。ナルシストでもないし充分な自己愛も持ち合わせていないのです。むしろ自分に対する周囲の評価に不満を持っているし、いまの地位を守るのに精一杯で大きな夢や計画を持っているわけでもありません。
どちらかといえば現状維持に必死な人間でしかありません。
だから、目の前の弱者に厳しく当たります。
「こいつだけは叩いておかないと私の地位や取り柄が奪われてしまう」と不安になるのでしょう。
強者にはへつらい、弱者を叩いて自分を守る
そのかわり、距離のある人間や勝ち目のない相手には妙に愛想がよかったり従順だったりします。たとえばあなたが同じチームのオレサマ化したAさんに苦しめられているとしても、そのAさんは他の部署の人には愛想よく振る舞って親しみやすい人と思われていたりします。あるいは部下の人望を集める上司の言葉には嬉しそうに従うし、自分からアドバイスを求めたりします。ときにはその上司のことを褒めたりもします。やることが見え透いているのです。
そういう様子を見ていると、オレサマに苦しめられている人は「なんてずるいヤツ」と余計に腹が立ちます。
でも確実に気がつくことがあります。
オレサマが強い人間には逆らわず、身近な弱者を叩こうとするのはすべて自分を守るためです。守るべき自分も弱者であり、狭い権限や領地しか持っていません。
これは必死にならざるを得ません。ここで一歩でも退いたら、すべて失ってしまうことになるからです。