再婚の相手は、ともに初婚の配偶者と死別した人。共働き(正社員)の二馬力なら、老後も安泰と算段を立てていた54歳女性だが……。誤算は、同居する87歳義母が要介護状態になったこと。ケアするため勤務シフトを変えると収入が激減し、貯金がほとんどできなくなった。家や車のローンが20万円近くある上、食費・水道光熱費・通信費などが使い放題で家計を悪化させていた――。
現金と、赤いゼロの文字を持つ女性
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初婚の配偶者とは死別…そんな50代男女が再婚後に悔やんだこと

「お金の出入りを“見える化”して、将来を見据えられる家計づくりをしたいんです」

ともに会社員の田中良一さん(仮名/56/メーカー)と孝子さん(仮名/54/経理事務)が夫婦一緒に家計相談にやってきて、こう言いました。いずれも、初婚の配偶者とは死別し、その後、結婚相談所に登録して再婚を果たしました。

孝子さんには子供はいませんが、良一さんには息子(27)がおり、87歳の母親の面倒も見ています。結婚後すぐ、孝子さんは4人家族の主婦となったわけです。

母親は高齢の割にしゃきっとしている印象だったそうですが、結婚の少し前から急速に認知機能が低下。足元もおぼつかず、今では移動に軽い介助が必要で、老人用のおむつが必須な状況です。そのため、再婚後もこれまで通りに働く予定でいた孝子さんですが、やむを得ず仕事を減らし、介護に時間を割くシフトを取らざるをえなくなりました。

訪問サービスやデイサービスなどを利用しつつ、可能な仕事はテレワークに切り換えていますが、残業代が付きにくくなったことや、どうしても欠勤しなくてはいけない日もあることで、収入は今までの6割ほど(手取り月収約20万円)に。月13万円も収入がダウンしたわけですから、かなりの痛手です。

孝子さんとしては再婚する際、収入が二馬力(共働き)になれば、老後資金を順調に貯められるという目算を立てていました。税込みの年収は二人合わせればボーナス込みで1000万を軽く超えていました。ところが現状、世帯収入も支出も同じ61万円。以前より収入が減り、支出が増えてしまった結果、貯金が全くといってよいほどできない家計状況に転落しました。