例年3~4月は大学進学などで親元を離れ、ひとり暮らしを開始する人が増える。日本学生支援機構の調査では、親からの仕送りは月平均12万円。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんは「アルバイトや奨学金などを含めると月19万円近い収入があり、お金の使い方が重要になる。間違ったマネー習慣が定着するとその後の人生のプランも狂いかねない」。送り出す親が子供にかけるべき3つのメッセージを紹介しよう――。
1万円札を数える
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「ひとり暮らし」でその人のマネー習慣が決まる

3月から4月にかけて、大学進学や就職などで、親元を離れ、生まれて初めてひとり暮らしをする人が増える。

ひとり暮らしともなれば、家賃・共益費、食費、生活雑貨、水道光熱費など、さまざまな支出がかかる。さらに、行動範囲や付き合いが広くなることで、これまでよりもお金が必要になる機会が増え、金額も大きくなってくるはずだ。

一方で、仕送りやお小遣い、給料・アルバイト代など、使えるお金には限りがある。

ひとり暮らしは、子どもにとって、社会を知り大きく成長する良い機会であるとも言えるが、そばにいてやれない分、親の心配も尽きない。

そこで、今回はファイナンシャル・プランナー(FP)である筆者の視点から、今春からひとり暮らしを始める子どもに、親としてどのようなことを伝えておくべきか考えてみよう。

もうしばらくは、一緒に暮らせると思ったのに、気づけば旅立っていくことに。「空の巣症候群」とも言われるように、親や保護者としては、子どもの成長をうれしく感じる反面、何ともいえない寂しさを感じるものだ。

とはいえ、ひとり暮らしともなれば、「料理や掃除といった家事をもっとやらせておけばよかった」「早寝・早起き・朝ごはん。基本的な生活習慣を身に着けさせておくべきだった」など、親として、やっておけば良かったと思うことは少なくない。

全国の大学生の子どもを持つ保護者に実施したアンケート(2018年11月、CHINTAI調査)によると、自分の子どもをひとり暮らしさせる際、不安だったことの第1位は、「生活費の管理」(53.8%)となっている。次いで、「家事」(51.8%)、「体調管理」(45.5%)、「生活習慣の乱れ」(40.5%)と続く(図表1)。

半数以上の親が不安に感じているのはお金のことのようだが、大学生でひとり暮らしをした場合、どれくらいお金がかかるのか確認しておこう。