「ひとり暮らし」でお金の良い習慣・悪い習慣のどちらがつくか
経団連が発表した、2021年3月卒「新規学卒者決定初任給調査結果」によると、初任給額は、大学院卒の事務系23万7190円、技術系23万8219円、大学卒の事務系21万9402円、技術系22万438円となっている。
前掲の日本学生支援機構の調査では、学生時代の収入の月額は仕送りのほかバイトや奨学金などで約18万8000円。社会人になってからのほうが多いように見えるが、ここから、税金や社会保険料が差し引かれる。
ただし、「所得税」と「雇用保険料」は当月から。「健康保険料」と「厚生年金保険料」は、前月の支払い分を翌月の給料から。「住民税」は入社2年目の6月から、それぞれ差し引かれるので、初任給は最も手取り額が大きくなる。
ざっくり言って、入社2カ月目以降は額面の8割程度が手取りといったところだろう。就職先によっては、学生時代のほうが時間もあったし、リッチな生活を送れていたのに……となるかもしれない。
それを考えると、ひとり暮らしをスタートさせるこの時期が、上記3つのポイントを踏まえて、お金に関する良い習慣を身に着けさせる絶好の機会とも言える。
筆者のところにやってくる社会人の相談者のうち、家計管理や投資に対する興味・関心が、ひとり暮らしをきっかけに高まったという人が多い。
逆に、浪費癖が抜けず、借金体質がなおらない人も、同じくひとり暮らしで自由に使えるお金が一気に増えたことで、パチンコや競馬などにはまり、ノンバンクやカードローンで無計画に作った借金がふくらみ、親に泣きついて返済してもらったものの、社会人になってからも同じことの繰り返しといった具合だ。そうなると、その後の人生のプラン(結婚、マイホーム購入、老後資金の積み立てなど)も崩れかねない。
脅かすわけではないが、悪しき習慣ほど染まりやすく、そして断ち切ることがやっかいなものはない。
なお、なにかと「コスパ」ではかりたがるのが最近の風潮だが、学生時代に、経験することはコスパでははかりきれない。子どもがお金のことを気にして、せっかくのチャンスを逃すことのないよう、子どもの性格などを見極めたうえで、親として伝えておくべきことを伝えておきたい。