支払いを現金からキャッシュレスに変える人が増えている。ファイナンシャルプランナーの横山光昭さんは「キャッシュレス決済のキャンペーンで『ポイント還元』『○%割引デー』などがあると、つい気持ちと“財布の紐”が緩み、得を取っているつもりが支出増という結果になり、家計が乱れる世帯は多い。キャッシュレス決済方法が複数になり、支出状況が分かりにくくなるケースも続発している」という――。
スマホでQRコード決済
写真=iStock.com/Kayoko Hayashi
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「突然、貯金が目減りし始めた」…原因はキャッシュレス決済

「口座の残高が予定より減ってしまって……。今まで頑張って貯めてきたのに」

都内在住の高田篤さん(35歳・仮名)は共に正社員として働いている妻(33歳)と賃貸マンション(家賃11万2000円)で2人暮らし。世帯月収は手取りで約46万円です。

家計は1つに合わせ、小遣い(夫5万円、妻4万円)は干渉せずに自由に使える仕組みです。以前は、夫婦共有の貯金に毎月3万~4万円以上を上乗せできていたのですが、キャッシュレス決済の数が増えてきた頃から徐々にその金額が減り、いまではボーナスなどで貯めた貯金も目減りしているような状況になっているとのこと。

貯金できず、口座残高も減っている(現状240万円)。高田さん夫婦は、これは明らかにお金の使い過ぎだろうとにらんでいるものの、特にムダ遣いをしているもつもりもない。

支出の記録はそれぞれに履歴は残っていますが、こまめな確認はしていません。ですが、感覚から言うと、支出が増えているきっかけに思い当たるところはないそうです。

しかし、支出の仕方の話を聞いていると浮き彫りになるものがありました。それは、高田さん夫婦の家計はキャッシュレス決済で悪化したということです。

・最近は、「ほしい」と思ったものは吟味せず値札もよく見ずに購入してしまうことがある。
・毎月、支出の総額がわからないまま暮らしている。
・お金を払っている実感がないと感じることがある。

これらが話の主なポイントです。

これらは、キャッシュレス決済とうまく付き合えない方によく見受けられること。最近寄せられる家計相談ではとても多い現象です。高田さん夫婦も、現金管理の時はうまくいっていたけれど、キャッシュレスにしてからは家計状況がわからなくなったと話していることから、キャッシュレスの影響を家計が乱れたと推測されます。